この記事をかいた人
- 藤崎萌恵
- 数年前にBLと出会い、心に潤いを取り戻しました。BLとブロマンスが癒し。主な記事は『チェリまほ』『陳情令』等。
平良と清居は付き合うようになってからも相変わらずで、平良の意味不明な言動に清居はドン引きする日々。なぜ自分はこの男を好きなのか。しかし求めずにはいられないのです。
恋人同士であろうと絶対的な神を崇拝する優秀な信者は健在であり、平良と清居は進化しながらもある意味ずっと変わらない部分を持ち続けています。
清居の悩ましい感情が随所で綴られていますが、平良自身もまた気持ちを持て余して苦悩していました。
“好きで、好きで、好きすぎて、満ち足りない。十四番目の月みたいなこの気持ちは、この先も続いて自分を切なくさせるんだろう。”(小説『美しい彼』「月齢14」より引用)
平良の切なく複雑な心境を、満月になる一歩前の満ち足りない月に喩えた言葉。
平良は自分のような人間が清居の恋人で申し訳ないと思いながら、どんどん欲張りになっていく想いをどうしたらいいのか分からなくなっています。憧れて見上げるだけだった頃にはなかった独占欲も芽生えており、自分のことで怒ったり泣きそうになっている清居をもっと見たいと思っている自分もいるのです。
肌を重ねる瞬間に平良と清居の関係は反転し、平良は清居を攻め続けて清居は素直に受け入れる。普段は清居を崇め奉っている平良ですが、この時ばかりは清居のことがかわいくて仕方がない。平良の心境はすごく複雑なものです。
少しの不安定さも抱きしめながら、深まっていく平良と清居の愛。凪良先生が紡がれる美しい言葉は何年経っても色褪せることなく、私たちの心に語りかけてくれています。
出会いから時が経ち、清居は色んな顔を見せるようになりました。清居はやはり格好良くて、常に高みを目指して努力し続けているストイックさにも美しさを感じます。まさに“美しい彼”。平良の審美眼は確かでしたね。
数年前にBLと出会い、心に潤いを取り戻しました。BLとブロマンスを愛し、大好きな作品はたくさんありますが『チェリまほ』が心のよりどころです。そして『魔道祖師』をはじめ中華BLの沼へ。趣味は国内外のBL漫画や小説を読むこと&ドラマ観賞で、これまでに執筆した記事は『チェリまほ』『美しい彼』『魔道祖師』『陳情令』『ENNEAD』など。
著者:凪良ゆう
キャラ文庫(徳間書店)
無口で友達もいない、クラス最底辺の高校生・平良(ひら)。そんな彼が一目で恋に堕ちたのは、人気者の清居(きよい)だ。誰ともつるまず平等に冷酷で、クラスの頂点に君臨する王(キング)――。自分の気配に気づいてくれればいいと、昼食の調達に使いっ走りと清居に忠誠を尽くす平良だけど!? 絶対君主への信仰が、欲望に堕ちる時――スクールカーストLOVE!!
(公式サイトより引用)
原作:凪良ゆう
作画:北野 仁
Charaコミックス(徳間書店)