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冬アニメ『ギルます』高橋李依&熊谷健太郎が語るアリナとジェイドの関係性/インタビュー

アリナとジェイドにとって、お互いが貴重な存在――『ギルドの受付嬢ですが、残業は嫌なのでボスをソロ討伐しようと思います』高橋李依さん&熊谷健太郎さんインタビュー|声優にとっての「残業」についてのお話も!?

第27回電撃小説大賞《金賞》を受賞した香坂マト先生のデビュー作『ギルドの受付嬢ですが、残業は嫌なのでボスをソロ討伐しようと思います』(通称『ギルます』)。本作のTVアニメが、2025年1月10日(金)よりTOKYO MXほか各局にて放送開始となります。

主人公は、ギルドの受付嬢として働くアリナ・クローバー。公務で安全安定な理想の職業に就いたはずだったのに、新たなダンジョンが発見されて攻略が滞ると、冒険者たちがギルドに殺到して毎日残業の日々。我慢の限界を迎えたアリナは、「処刑人」として一人でダンジョンに乗り込み、銀色に輝く大鎚(ウォーハンマー)で、残業の原因となっているボスモンスターをソロ討伐してしまうのでした。

強大なボスを一撃で葬る正体不明の冒険者「処刑人」の存在は、イフール内で話題となりますが、ギルドの受付嬢は副業禁止。正体がバレると即刻クビになってしまうため、アリナはダンジョンでは常に顔を隠していました。しかし、イフール最強のパーティー「白銀の剣」のリーダーであるジェイド・スクレイドは、抜群の観察眼の持ち主で……?

定時退社と平穏な日々を守るため、ギルドの受付嬢が巨大なハンマーを振りかざして大活躍! いよいよ放送開始となるTVアニメ『ギルます』の魅力を、アリナ役・高橋李依さんと、ジェイド役・熊谷健太郎さんに語っていただきました。

 

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ギルドの受付嬢ですが、残業は嫌なのでボスをソロ討伐しようと思います
〈ギルドの受付嬢〉。業務内容は絶対安全。公務だから立場も安定。可愛い制服に身を包み、カウンター越しに笑顔で冒険者たちをご案内。受付時間が終わったら、のんびりと事務作業を済ませて定時に帰宅。愛しの我が家でくつろいで、さあ、明日も元気に働こうーー。アリナ・クローバーは、そんな理想の職業に就いたはずだった。しかし。その実態は、理想とは程遠かったーひとたびダンジョンの攻略が滞れば、カウンターは大混雑。めんどくさい対応を求める冒険者もちらほら。顔で笑って心で泣いて、厄介な顧客をやり過ごしても、今度は大量の書類仕事が待っている。やる気は残ってないけれど、明日に回せばなおしんどい。おかげで来る日も来る日も残業地獄...ああ、もう我慢の限界!!アリナが不満を爆発させると、隠し持った一面が顔を出す。チームで挑むことすら危険なダンジョンにソロで乗り込み、銀に輝く大鎚【ルビ:ウォーハンマー】で、強大なボスを叩き伏せる――。何を隠そう彼女こそ、正体不明、神出鬼没、街で噂の凄腕冒険者〈処刑人〉その人だったのだ!!でも、そのことは絶対に隠し通さなければならない。なぜなら受付嬢は副業禁止で、バレたら即刻クビだから...。アリナの平穏な暮らしは、守ら...

 

「残業」というピースによって、ファンタジー作品でありながら強く共感できる

──『ギルます』への出演が決まったときの心境を教えてください。

ジェイド・スクレイド役・熊谷健太郎さん(以下、熊谷):オーディションを経て、ご縁をいただいた作品ですので、やっぱりまずは、とても嬉しかったです。出演が決まった段階では「アリナ役が高橋さん」ということしか、キャストに関しては知らなかったのですが、このにぎやかな作品で、高橋さんとどういう掛け合いができて、どんな科学反応が現場で生まれるのかなとすごくワクワクしました。

 

 

──オーディションに関して、特に印象的だったことはありますか?

熊谷:オーディションそのものについてではないのですが、2024年一発目の事務所からの連絡が『ギルます』の出演決定だったんですよ。

アリナ・クローバー役・高橋李依さん(以下、高橋):へぇー、おめでたい!

熊谷:そうなんですよ。マネージャーさんから「オーディションを受けた役が決まりました!」という連絡があって、「2024年、幸先良いな!」って(笑)。すごく気持ちのいい新年を迎えさせてくれた作品ですね。

高橋:私は、(2021年3月に公開された)原作のPVのときに、アリナと初めて出会って、「アリナって、どんな子かな」って考えながら、収録させていただきました。その作品がアニメ化するらしいという話を知ると同時に、(2023年7月に公開された)アニメ化決定PVのオファーがあって。「ということは……(アリナ役は)私だ!」と知り、本当に嬉しかったです。同時に、いち読者のような感覚で「アニメ化、おめでとうございます」という気持ちにもなりました。アリナを任せていただけることのカロリーの重さも、責任として大変心地よく、すごく光栄で、頑張りたいと思いました。

 

 

──では、オーディションという形ではなかったのですね。

高橋:オファーでした。PVを収録したとき、(見た人が)この作品を読んでみたいと思ってもらえるように、残業に対する思いとか、溢れる感情を詰め込みたいと思いながら担当させていただいて。もし、その時のご縁で選んでいただけたのであれば、あの時の私にお礼を言いたいですね。

 

 

──作品の第一印象や、特に魅力を感じた部分などを教えてください。

高橋:『ギルドの受付嬢ですが、残業は嫌なのでボスをソロ討伐しようと思います』というタイトルが、「それをやったらどうなるんだろう」と思わせる内容というか。ボスをソロ討伐したら、お話が終わっちゃうじゃないですか。でもタイトル回収をした後も、物語はどんどん展開していくんです。しかも、受付嬢というタイトルからは想像のつかない熱さと、コミカルで軽快な爽快感がある読み物になっていたので、仕事で疲れた後でも文字を読みたいと思わせてくれる。それくらい爽やかで読みやすい作品だなと思いました。

熊谷:オーディションのお話いただいて、最初にタイトルを見たとき、「ギルドの受付嬢」という要素と「ボスをソロ討伐」という要素がまずあって。「受付嬢が実はこういう能力を持っていて、こういうことを裏でしていて」といったところに読む上でのカタルシスがある作品なのだろうと思ったし、実際にそうだったのですが。そこに「残業」というピースがどう絡んでくるのか気になりながら読み始めました。今、僕たちが生きている世界とは全然違う世界の話のはずなのに謎の共感というか、親和性があるんですよ(笑)。

 

 
高橋:うんうん(笑)。

熊谷:僕も正社員ではないにしろ、アルバイトとしてフルタイムのような形で働くこともあったので、残業のしんどさも少しは分かるんですよね。だからこそ、アリナさんに対する共感もあって。それに、声を任せていただくジェイドの目線を意識して読むと、アリナさんを軸にとても賑やかだし緩急も効いている。物語としてのリズムがものすごく心地良い作品だなと感じました。

 

声優にとっての「残業」とは? 他業種からはなかなか理解されない悩みを告白

──ご自身が演じられるキャラクターについての印象なども教えてください。

高橋:アリナさんはギルドの受付嬢になって3年目なんですが、「残業は嫌なので」と言うからには、さぞ手際良く働くタイプのかなと思いきや、実は努力の末にここまでやれるようになった子で。本当は少し要領が悪く、不憫な役回りがすごく多い、ちょっぴり可哀想な主人公なんです。

でも彼女の中には、その可哀想さと相反するエネルギーがあるので、皆さんには、にこやかに彼女のもがき続ける姿を楽しんでもらえるかなって。アリナさんにとっては大変申し訳ない紹介の仕方になってしまいますが、「可哀想で可愛い」という感じがあります(笑)。

 

 
熊谷:ジェイドは「白銀の剣」というパーティーのリーダーで、いろいろな人からすごく慕われているし、彼自身がかなり天才肌で要領もすごく良いんです。なのでアリナさんのカウンター的な立ち位置にいるような人物でもあるのかなと、僕は勝手に思っています。

それに、いろいろな物事に対してすごく誠実だし、とてもまっすぐな性格でもあるから、それが彼自身のカリスマ性やリーダーとしての資質にもつながっている。ただ、アリナさんという一人の人物の魅力に気づいてアプローチしていくときには、その純真さや熱量が気持ち悪く思われてしまうんですけどね(笑)。そこは表裏や二面性があるのではなく、どちらも彼自身の誠実さが顕著に出ているだけで。「誠実さ、真っ直ぐさ」というベースさえブレなければ、いろいろと(芝居で)振り回しても大丈夫というか、かなり懐の深い人間だと感じています。

 

 

──声優さんは、会社に定時出勤する職業ではないので、アリナが感じている定時退社の嬉しさや残業の辛さは少しイメージしにくいのかなと思っていたのですが、そんなことはない?

高橋:残業の辛さ……めちゃめちゃ分かります!

──動画ではないことが残念なくらい、熱のこもったお答えですね(笑)。

高橋:(アフレコなど)声優の稼働時間は披露の場なので、家で台本をチェックしている時間は、私は残業だと思っています。

──たしかに、タイムカードなどの記録には残らないけれど、仕事ですね。

高橋:はい。お家で残業しています(笑)。

熊谷:残業の話ではないですが、一般のお仕事の方との感覚の違いで、なかなか理解してもらえない、一生このすり合わせは無理なのかなと思っていることがあって。僕らの仕事って、特に収録関係に関しては「朝10」と言われる仕事が多いんです。

 

 

──午前中に行われるアニメなどのアフレコは、朝10時からスタートすることが多いですよね。

熊谷:もちろん、もっと早い時間の仕事が入るときもあるのですが、一般の方に「朝10」という話をすると、「朝10時から? めっちゃゆっくりじゃん」みたいに言われることがよくあるんです。

高橋:あるある。

熊谷:でも僕らは、前日の仕事終わりが22時だろうが、23時だろうが、家に帰ったら台本を読んで翌日の準備をして。朝起きて現場に行ったら、一声目からドンと台詞を言えるようにする。その準備の時間も、ある意味で仕事しているんです。でもそういうことは、言葉で伝えても、なかなか分かってもらえないんですよね(笑)。

高橋:深夜まで台本のチェックが終わらなくて。でも寝ないと滑舌が回復しないから寝なきゃいけないし、少しだけ寝てすぐに起きて、台本チェックして……。

熊谷:下手したら、まだ日が昇る前から台本を読んでいるときもあるんだぞって(笑)。

──スタジオに行って「昨日帰りが遅かったので、台本チェックできていません。ごめんなさい」では済まないわけですよね。

高橋:絶対に済まないです(笑)。「この役者は残念だ」ってことになっちゃいます。なので、残業への沸々とした感情も、ある程度理解しているつもりです(笑)。

 

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