公開目前! 最新のセルルック3DCG技術で描かれる『009 RE:CYBORG』の上映会イベントにサンジゲンと宮野真守さん&斎藤千和さんも登場!
2012年10月18日(木)、東京・新宿「バルト9」において、「『009 RE:CYBORG』公開記念!生メイキング&生アテレコ付特別上映イベント」が行われた。
『009 RE:CYBORG』は、石ノ森章太郎氏の未完の傑作『サイボーグ009』を、『攻殻機動隊S.A.C.』『東のエデン』の神山健治監督が、日本最高峰のスタッフと共に、完全オリジナルストーリーでアニメーション映画化した作品となっている。
今回行われたイベントでは、神山健治監督、制作プロデューサー・松浦裕暁さん、アニメーションディレクター・鈴木大介さん、リードアニメーター・植高正典さん、撮影監督・上薗隆浩さん、美術監督・竹田悠介さんというスタッフ陣に加え、本作に声優として参加した宮野真守さん(009/島村ジョー役)、斎藤千和さん(003/フランソワーズ・アルヌール役)も登壇。本稿ではイベントの模様をお伝えしよう。
●イベント会場で実際に背景美術を制作!
美術監督を務めた竹田悠介さんが、劇場で背景を作成していくデモンストレーションが行われた。アニメーターの仕事を生で見られるという大変貴重な機会だ。美術出身でもある神山監督は「背景は単純に写真のように正確であればいいというものではなく、手描き感が必要。そこにアニメーションの背景の特徴がある。むかし、僕が画用紙に描いていた頃とは全く違いますね」とコメントした。本編には約20年間のアニメーション作成技術の進歩が集約されているようだ。
●絵を描かないアニメーター集団・サンジゲンの仕事を大公開!
竹田さんがペインターとフォトショップで背景を作成している間、今回3DCGでのキャラクター作成を担当したサンジゲンのアニメーターによる仕事について解説してゆく。
【セルシェーディングによる2Dルックの実現】
3DCGで作成したにも関わらず、なぜセルアニメのような質感を出すことが出来たのかについて、フランソワーズのモデリングを例に解説が行われた。3DCGで作成したポリゴンのキャラクターに、セルシェーディングと呼ばれる特殊な色付けをすることで2Dの見映えになる。手描きでは表現不可能なパンティストッキングの細かい網目や胸元のレースなどのデザインにはCGの利点が活かされている。手描きのキャラクターは一切おらず、モブキャラクターも1体ずつ作られているというから、その作業量は膨大なものだ。
【実写映画に近いレイアウト作業】
レイアウト作業についての解説では、ジョーが初めて加速装置を発動させる場面が使われた。コンピューターの中に舞台となるビルを、キャラクターと同様に立体視で作成する。そこにキャラクターを配置し、カメラの位置を決めてゆく。フレームにキャラクターを収めていく作業は、実写映画を撮る感覚に近い。だが、ここで映像に迫力やインパクトを与えるために、体の一部をアップにするなど実写ではなしえない映像的な演出が付加される。
【少数精鋭の優秀なスタッフたち】
キャラクターの表情芝居はコンテから表情のアップを拾い上げ、CGに置き換えてゆく。表情を豊かに表現するために、アニメーターが細かいコマを足していくなど工夫が凝らされた。制作に関わったアニメーターは社内に45人、外部に60人の総勢で約100人程度。セルの劇場アニメでは、およそこの2倍のスタッフが必要になる。
●宮野さん&斎藤さんによる生アフレコ!
ここで、島村ジョー(009)役の宮野真守さんと、フランソワーズ・アルヌール(003)役の斎藤千和さんが登場! 先ほど完成した竹田さんの背景を観て興奮する2人。この後、生アフレコという竹田さんよりもさらに過酷な指令を下されることになる。
選ばれたのはジョーとフランソワーズが再開するシーンだ。実際のアフレコでも緊張したシーンだという。神山監督から「できるだけ感情を込めて、恥ずかしがらずに。心の中でお互いが惹かれあうように」との演技指導が出た。
【読み上げたセリフ】
ジョー(CV:宮野さん)「君が来たということは、僕たちを必要とする敵が現れたということだね」
フランソワーズ(CV:斎藤さん)「ええ。今、全世界を巻き込んだ同時多発テロを引き起こしている姿なき敵と戦うため、再びギルモア博士のもとに集う時が来たの」
シーンが始まるまでは、緊張のせいか高揚気味の2人だったが、切り替えの速さは見事。監督からも「まさにプロ。完璧ですね」と一発OKが出た。なお最後に、斎藤さん、宮野さん、神山監督のメッセージが送られ、本イベントは幕を閉じた。
斎藤さん:
いろんなスタッフさんの積み重ねの上に、私たちの仕事が成り立っているのだと改めて感じました。今日は皆さんにご覧いただけることが本当にうれしいです。
宮野さん:
構想3年、制作2年、本当にスタッフが愛情を注いで作った作品を、皆さんにこうして観てもらえることが幸せです。この作品の持っているテーマはとても深く考えさせられる内容になっています。観終わった後に、少しでも自分の世界を見つめ直すきっかけになってくれればいいと思います。
神山監督:
本日は裏の仕事を少しお見せしましたが、それは忘れて映画に没頭していただければと思います。大勢の皆さんに観て頂けることがスタッフにとって一番嬉しいことです。
◆映画『009 RE:CYBORG』
10月27日(土) 2D/3D 全国公開
<STORY>
物語の舞台は、2013年の現在。
ロンドン、モスクワ、ベルリン、ニューヨーク、上海……大都市の超高層ビルが次々と崩壊するという、同時多発爆破事件が発生。いつ、誰の意思で計画されたかもわからない無差別テロは、世界を不安とパニックに陥れていた。
かつて世界が危機に陥るたびに、人々を救った9人のサイボーグ戦士がいた。その役目を終え、各々の故国に帰っていたゼロゼロナンバーサイボーグ達は生みの親であるギルモア博士からの呼びかけによって、再び再結集しようとしていた。一方、ゼロゼロナンバーサイボーグのリーダーである日本人、009こと島村ジョーは、過去の記憶を消し、東京・六本木でひとり暮らしていた。サイボーグ戦士最後の切り札であるジョーは、ギルモア博士によって30年間、3年に一度、記憶をリセットされ、高校3年間を繰り返していたのだ。
全世界同時多発爆破事件の犯人とは?ヒーロー不在の時代、彼らは、誰がために戦うのか?彼らが立向かう、新たな時代の「正義」とは? ジョーの記憶が呼び覚まされた時、ゼロゼロナンバーサイボーグの、新たな戦いが始まる!
原作:石ノ森章太郎
脚本・監督:神山健治
音楽:川井憲次
キャラクターデザイン:麻生我等
絵コンテ:青木康浩、林祐一郎
アニメーションディレクター:鈴木大介
演出:柿本広大
リードアニメーター:植高正典
美術設定:渡部隆、滝口比呂志
美術監督:竹田悠介
色彩設計:片山由美子
撮影監督:上薗隆浩
サウンドデザイナー:トム・マイヤーズ
ラインディレクター:川端玲奈
制作プロデューサー:松浦裕暁
製作プロデューサー:石川光久
プロデューサー:石井朋彦
共同制作:Production I.G/サンジゲン
配給:Production I.G/ティ・ジョイ
>>『009 RE:CYBORG』公式サイト