『直球表題ロボットアニメ』の石舘光太郎さんが、東工大で講演!

『直球表題ロボットアニメ』、『gdgd妖精s』の石舘光太郎さんが、東工大で講演!

7月15日(月)、放送作家でアニメ監督の石舘光太郎さんが東京工業大学で特別講義を担当した。今回特別講義を行ったのは「合理的思考の技術」という講義の1コマ。

担当教員の小林憲正助教が石舘さんの手がけた『gdgd妖精s』、『直球表題ロボットアニメ』のファンであったことから実現したそうで、講義のテーマは「『直球表題ロボットアニメ』における笑いと感動のメカニズム」。

同アニメの初期プロット、14ページに渡る企画書などが回覧資料として用意され、本編映像の上映なども含め90分間の講義となった。

▲『直球表題ロボットアニメ』(監督)、『gdgd妖精s』(シリーズ構成・脚本)を担当した石舘光太郎さん

▲『直球表題ロボットアニメ』(監督)、『gdgd妖精s』(シリーズ構成・脚本)を担当した石舘光太郎さん

実際に講義に内容は下記の通り。

■ 講義内容

【1】簡単に自己紹介
・石舘光太郎の自己紹介とアニメ監督になった経緯
家は代々学者
不真面目な文系学生
お笑い芸人
放送作家(※シェアハウスで共同生活を経験)
脚本家
アニメ監督

【2】コンテンツ・クリエイター論
(1)『gdgd妖精s』を受けて『直球表題ロボットアニメ』の製作経緯
(※資料:初期企画書)

(2)CGアニメにできること、CGアニメにしかできないこと
アニメ好きの人(つまりターゲット層)は今までのアニメ作品と同じ内容をやるのならCGではなく「手描き」を喜ぶ。
CGアニメの大きな利点「予算が安い」「製作スピードが速い」という利点は、実はユーザーに取って直接的なメリットではない。
そこで「CGアニメである」ということがユーザーに取ってメリットとなる構造を考えなくてはならない。

※CGで描けるもの
ボカロ、ディフォルメキャラ、ゲームキャラ、無機質なもの

※CGが得意なこと
プレスコ収録

(3)アニメ製作組織
■チームの座組
製作委員会、プロデューサー、監督、音響監督、シリーズ構成、アニメ監督、ディレクター、モデラー、音楽製作、音響効果、キャスト・・・

■製作の流れ
企画→キャスティング→脚本→音響製作→モデリング→映像制作→本編集&MA→オンエア
その中で、監督の仕事とは?

【3】コンテンツ内容を考える

(1)合理的に作品内容を考える
製作環境、マーケット需要、そして自分にできること…
多角的な観点から必要な要素を組み立て上げ、出来上がった
コンセプトは「人間を知らないロボットたちが“笑い”という感情&文化を調査する」

(2)具体的な構成と楽しみ方(※資料:ダイサンワのVTR)
・設定&世界観
CGで描きやすいロボット×笑い

・登場キャラクター
三者三様で、ひとりを2人が振り回せるようなキャラ付けに

・オープニング
せっかくロボットたちが戦争をしているという設定なので派手なバトルシーンを見せたい&「っぽい」熱い曲

・本編トークパート
それぞれのキャラクターとその成長を見せるブロック

・オープニング改変パート
せっかくOPでバトルシーンを見せるならそれを利用した映像で楽しめるブロックを作りたい

・アドリブパート
CGはプレスコが得意→アドリブにも向いている
これまでに積み上げたものをぶち壊す楽しさを見せたいブロック
トークパートの成長ともリンクさせたい

・エンディング
OPとは方向性の違う面白さ、ZAQさんのタイアップを贅沢に台無しにしたい

・次回予告
アニメにおいて次回予告は遊び場。
「ロボットアニメをパロディにする」という明確な方向性。

・シリーズ構成
テーマは「ロボットの真面目さ&健気さ」、「成長」

(3)笑いのメカニズム
「笑い」が生まれるのは「イレギュラー」+「客観視」。
何かしらの理由で本来起こるべき正しい出来事ではないことが起こり(奇跡的な出来事や、ボケなど)、それを客観視できる環境(何が面白いのかを伝えるツッコミや、番組のテロップ&SE)が同時に整うと、笑いになる。
たとえどんなにイレギュラーな出来事が起こっても、自分が 当事者で客観視できない状態だと「笑う」余裕がない。

(4)萌えと笑い
「萌え」、つまり登場キャラクターへ愛着を持たせることが「笑い」のハードルを下げる。萌えと笑いはとても相性が良い。
例)子猫や赤ちゃんの行動
AKB48やジャニーズのバラエティ

(5)笑いと感動(※資料:サイシュウワのVTR)
「笑い」とは何か?「共感・感動」とは何か? 
客観的に見て笑えること・喜劇は、視点を変えて登場人物に感情移入させて主観的に見せることで共感・悲劇になる

例)笑いが生まれるのは誰かが驚いたり怒ったり困っているとき。
しかし当事者からすれば当然それらは笑い事ではない。

(6)伏線を回収する、という「保険」
不特定多数のユーザーを同一作品で満足させるために必要なこと、それは楽しみ方を多重構造にすること。
直球表第ロボットアニメではしっかりと「設定」を設けたため、比較的にシュールな笑いがメインになり、それを素直に面白いと感じられるユーザーの割合が低くなる懸念があった。
そのため、ひとつひとつの笑いを伏線にして物語を完結させるという「保険」を設けた。

(7)本作で一番伝えたかったこと
真面目な人・融通の利かない人は物事を一元的に捉えてしまうため、視野が狭く笑いが理解できない。冗談が通じない。
また、論理的に思考しない人は「面白さ」の理解が浅い。
他者にその面白さを説明できない。
つまり、「笑い」に必要なことは、「物事を多角的に捉えて、論理的に検証すること」・・・つまり、あらゆる「学問」と一緒。

【4】質疑・応答

講義を行った石舘監督に、その感想を直撃! また、気になる次回作についても伺ってみました!

――講義いかがでしたか?

石舘光太郎監督:楽しませていただきました。学生と交流を持てるというのはとても刺激になりますね。実は石舘家、代々学者なんです。孫はこんなふざけた社会不適合者ですけど、祖父はなんと東大名誉教授だったりします(笑) 父も国立大学の助教授で「国立は東大卒か京大卒じゃないと教授にしてもらえない」とぼやいて私大に移って教授になり、移った私大では「ビジネス重視で教育設備軽視のフロントと揉めて辞めた」と言っていました。この生き方の不器用さ、血は争えないなぁと感じました(笑) いつか一戦をリタイアしたら僕も教壇に立てるようになりたいなぁという夢はあります。

――講義をして気付いたことなどは?

石舘:実はこの講義に呼んでいただくのは去年に続いて2回目なんです。去年は『gdgd妖精s』のお話をさせていただきました。そのときも50人以上の学生さんを前に講義をさせていただいたんですが、元芸人のためか僕“芸人病”なところがありまして、笑いが起こらないと無意識に不安を感じてどんどん話を省略して先を急いでしまったんですね。ライブやトークショーのような心持ちで話していたんでしょうね。それで予定時間の半分で終わってしまってすごくテンパったんですよ(笑) 今回はその失敗経験を生かして準備したこともあり、あまりテンパらずに用意した内容をお伝えすることができてホッとしています。僕は不真面目な文系学生だったので、理系の学生さんはとても真面目で優秀そうに見えました。直球表題のテーマはそんな真面目な人たちに向けてのメッセージでもあったので、丁度良かったかもしれません。それと、講義内容を準備するためにレジュメを作っていると、自分の頭の中がどんどん整理されてすっきりしました。自分でもぼんやりとしか分かっていなかったことにきちんと論理的で一貫性のある説明が与えられて、初めて有効な材料になる、という感じでしょうか。実は僕、きっと勉強が好きだったんだなぁ、学生時代は勉強の仕方を間違えていたんだろうなぁ、と感じました。

―次回作について教えていただけますか?

石舘:はい。言ってもたかだかショートアニメですし、常に挑戦はし続けていきたいので、また「三振かホームランか」という覚悟で打席に立ちたいと思っています。お笑いやバラエティの感覚を、今までよりさらに一歩、アニメ側に踏み込んだような作品になると思います。『直球表題』は世界観とシリーズ通しての成長というところに重きを置いていたため序盤での間口の狭さが反省点だったので、次回は最初から取っ付きやすいキャッチーさを大切にしようと心がけています。それと次回はこれまでよりも少しお金をかけさせていただけることになったので、映像の質を挙げられたら良いな、と考えています。キャスティングでもちょっと遊びたいな。ん~、今お話しできるのはこんなところでしょうか?歯切れが悪くてすいません…(笑)

―期待しております。ありがとうございました

>>直球表題 ロボットアニメ-STRAIGHT TITLE- OFFICIAL WEBSITE
>>直球表題ロボットアニメ (robot_anime) 公式Twitter
>>直球表題ロボットアニメ(ニコニコチャンネル)
>>合理的思考の技術(講義概要・シラバス)

(C) こういうときどういう顔していいのか分からな委員会
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