この記事をかいた人
- 逆井マリ
- 神奈川県横浜市出身。音楽フリーペーパー編集部を経て、フリーのライターとしてインタビュー等の執筆を手掛ける。
好評放送中のTVアニメ『山田くんと7人の魔女』(以下、やまじょ)のEDテーマになっているみみめめMIMIの新曲『CANDY MAGIC』がシングルとして6月10日にリリースされた。周知ではあるが、「目と耳から刺激する新世代視聴覚ユニット」として名づけられたみみめめMIMIは、シンガーソングライター/声優の<タカオユキ>とイラストレーターの<ちゃもーい>からなる目と耳から刺激する新世代視聴覚ユニット。
ちゃもーいさんが手がけているイラストのMIMIちゃんがアイコンとして知られているが、今作はジャケット(みみめめMIMI盤)にタカオユキさん自身が登場。また、MVではMIMIが着ていた黄色のワンピースを実際にタカオユキさんが着用して出演するなど、MIMI=タカオユキとして現実世界に飛び出した形に。アニメのヒロイン・白石うららの気持ちと青春をキャンディと魔法に例えたポップな楽曲とは裏腹に、本人たちの覚悟や、表現に対する挑戦も感じさせる。どんな気持ちを込めたのか、タカオユキさん、ちゃもーいさんにメールインタビューで伺った。
●「白石うららちゃんの気持ちを妄想しながら」(ユキ)
――まずはそれぞれ自己紹介をお願いします。
タカオユキさん(以下、タカオユキ):みみめめMIMI、ボーカルのタカオユキです。耳担当として作詞作曲、歌を担当しています。普段は声優としても活動しています。
ちゃもーいさん(以下、ちゃもーい):みみめめMIMIめ担当のちゃもーいです。ポップでキュートな作風が目印のイラストレーターです。
――ところで、お互いをどんな性格の持ち主だと思っていますか?
タカオユキ:ちゃもーいは、ちょっと変わった女の子(笑)。基本的に擬音語が会話中に多かったり、自分の名前(ちゃもーい)を好きなポケモンの泣き声から決めてしまったり。でもイラストの事となると、とても負けず嫌いだったり拘りを持った努力家で、休みの日も家に引きこもり絵を描いている生粋の絵描きさんですね。
ちゃもーい:何事も、粘り強く諦めないがんばりやな性格だと思ってます。そして最近、財布を失くした瞬間をユッキーと共有したのですがその時にいち早く「警察署に行こ!」「カード会社に連絡するんだよ!」と、しょんぼりする間もなく次々と教えてくれたことが印象的でした。意外としっかり者なんですよ!
――今年初シングルとなりますが、どんな気持ちで制作に向かっていったのでしょうか?
タカオユキ:前回CDをリリースした去年から、初めてライブ活動をスタートさせたのですが、ライブを始めたからこそ、その場所でお客さんからもらったものや学ぶことも多い1年でした。そういう部分も今回音にのせて届けたいと制作に向かいました。また、『山田くんと7人の魔女』に登場する白石うららちゃんの気持ちを妄想しながら青春を意識して曲をかきました。
――甘酸っぱいメロディが印象的な『CANDY MAGIC』はユカさん(ユキさん)が作詞、作曲をされています。キャンディを時間の儚さに例えたとのことですが、具体的にどんな風に作られたか教えて下さい。
タカオユキ:口にすればやがて溶けてしまうキャンディと、時間の儚さをかけているのですが、実際にキャンディを沢山舐めながら歌詞を考えていました。飴でお腹一杯になっていました(笑)
――レコーディングはいかがでしたか? 歌詞の冒頭に“ふたりひとつに奏でてみたい”という言葉がありますが、お二人はどのように交わっていくのでしょうか。挑戦した表現や、レコーディングのエピソードがあれば、合わせて教えて下さい。
タカオユキ:この曲は“きみ”と“ぼく”の物語をなっていて、その2人が交わっていくのかハッピーエンドなのかどうかは実は描いてません。そこは敢えて皆さんの想像にお任せしたいです。曲の最後“誰も知らないきらめく世界”というフレーズにもそのような意味が込められてます。レコーディングでは初めて、それまで出なかった「F」の音が歌えてまさにCANDY“MAGIC”でした!
――ところで、“君に届け▷○◁っておまじない”という歌詞がありますが、ここぞというときにかけるおまじないはありますか?
タカオユキ:ライブ直前に、“お客さんに1つでも何か心に届きますように”と目をつむっておまじないをかけてステージに立ってます。
ちゃもーい:おまじないというほど特別なことではないですが、迷った時は上を向くようにしています。横たわって青空をぼんやり眺めたり、物理的に上を向いたりするだけでも、ポジティブな気分になれます。
●「未来は、予知できるとしても見たくありません」(ユキ)
――ラストの“偽りなくだいすきでした 誰も知らないきらめく世界”というくだりの切ない歌声に、胸がキュッとなりました。お二人が特に気に入っているフレーズがあったら教えて下さい。
タカオユキ: “小さく「すき」ってかいた包み紙 両端をきゅっとひねって そっとポケットにいれたの”です。
ちゃもーい: “シンデレラストーリーなんかじゃなくても”です。全てが順調に運ぶことはほとんどないこの世の中で、それでも良いんだ、自分には自分なりの道があるんだと思わせてくれる力強いこの言葉に注目してほしいです。
――タカオさんは猿島マリア役としてアニメに出演されていますが、アフレコはいかがですか? また、マリアは未来を予知できますが、お二人は、もし未来を予知できるとしたら、視てみたいですか?
タカオユキ:アフレコ現場は、いつも出演者の人数が多くにぎやかで本当の教室のようでした。マリアは一見帰国子女でませていて大人っぽい性格ですが、とても素直で無邪気な女の子なので、そのバランスをまず大切にしました。また英語の現地の口語や発音も勉強してのぞみました。未来は、予知できるとしても見たくありません。楽しみやドキドキが失われてしまうのが嫌だなと思います。
ちゃもーい:オリンピック開催間近の未来では、どんな建物が建っているのか、どんな新しい道が作られているのか見てみたいです。そして、何かが始まるという雰囲気を世の中と一緒に盛り上がりたい!
●「(好きなキャラは)山田くん。あえて立ち向かう姿がカッコいい」(ちゃもーい)
――『やまじょ』のなかでお二人が好きなキャラクターと、その理由を教えて下さい。
タカオユキ:白石うららちゃん。うららちゃんの気持ちになって、曲をかいていたので、きっと人より何倍も愛着が強いのだと思います。才色兼備で完璧に見えて、実は誰よりも人を想ったり優しいうららちゃんが好きです。
ちゃもーい:山田くんです。面倒事があったら見て見ぬふりをしてしまいがちだと思うのですが、あえて立ち向かう姿がカッコいい!
――ミュージックビデオについて教えて下さい。
タカオユキ:ちゃもーいの描くイラストが現実に飛び出した世界で、私が初めて実写で歌ったミュージックビデオとなっています。MIMIちゃんと同じ衣装を着て、いつもMIMIちゃんが曲を届けているところを、今回私がMIMIちゃんに代わって、曲を届けています。ちゃもーいのイラストのセットが森の中でドリーミーな空間を作っています。
――今後のミュージックビデオのなかでMIMIちゃんに着せてみたい衣装や行かせたい場所はありますか?
ちゃもーい:ストリート系のファッション!おしゃれして、街に出かけてほしい。またきれいめお姉さん風のカジュアルなファッションにも挑戦したいです。今までは不思議なファンタジーの世界にいたけれど、これからはリアルな東京の街を探検してみたい。ステキな出会いがあると信じて!
――6月に開催されるワンマンライブ「CANDY MAGIC SHOW~梅雨だけど雨じゃなくて飴を降らせまSHOW!▷○◁~」への意気込みを。
タカオユキ:去年6月に初めてみみめめMIMIとして皆さんの前に立ってライブをしました。その時正直ステージに立つことで必死で、本当の意味で皆さんに曲を届けるということができず、独りよがりなライブをしていたのではないかと悔しい想いをしました。私の“片思い”なライブだったというか。だから1年ぶりの今回のワンマンライブは、全身全霊で私たちの音楽を通して皆さんと“両想い”になれるような最高に楽しいライブにしたいと思っています!
●「(イラストを)色々な形で現実世界に登場させてみたいです」(ちゃもーい)
――お互いへアドバイスをするとしたら何かありますか?
タカオユキ:引きこもりすぎず、たまには山登りとか外に出よう!
ちゃもーい:お弁当には味をつけたらいいんじゃないかな!?(笑)
――ところで、挑戦してみたいことはありますか。
タカオユキ:全国ツアーだったり、もっと色んな場所へ歌いにいくことを実現させたいです。
ちゃもーい:今回のMVではイラストが現実に現れましたが、今後はセットだけではなく色々な形で現実世界に登場させてみたいです。
――最後に、お互いにメッセージをお願いします。
タカオユキ:いつもどんな時も一番の味方となって話をきいてくれるちゃもーい。ありがとう!これからもよろしくね!いつかファミレスじゃなくて高級レストランに行けるように頑張ろう(笑)。
ちゃもーい:これからも変わらず、作品を作ったり、ファミレスで話したり、一緒の時間を共有していきましょう☆ そして、その時間をたくさんのファンの方々とも共有していけたらうれしいです。
[インタビュー・逆井マリ]
神奈川県横浜市出身。既婚、一児の母。音楽フリーペーパー編集部を経て、フリーのライターとしてインタビュー等の執筆を手掛ける。パンクからアニソン、2.5次元舞台、ゲーム、グルメ、教育まで、ジャンル問わず、自分の“好き”を必死に追いかけ中。はじめてのめり込んだアニメは『楽しいムーミン一家』。インタビューでリアルな心情や生き方を聞くことが好き。