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- 塚越淳一
- アニメイトタイムズでいっぱい書いています。
毎日1曲ずつ名曲おすすめアニソンを紹介する連載企画「塚越淳一のアニソントラベラー」。連載第21回は、TVアニメ『化物語』より、supercellの「君の知らない物語」です。
今回びっくりしたんですけど、この曲ってもう11年前にリリースされたんですね……。当時は、無限リピートして聴いていた記憶があります。今でも夏の夜空を見ると、デネブ、アルタイル、ベガの夏の大三角形を探してしまうものです(あのときは、アレガという星があると思っていたな)。
そんな筆者の思い出を引き出してくれた塚越さんはどうですか?
09年にリリースした、supercellのメジャーデビューシングル。TVアニメ『化物語』の斬新さは世界に驚きを与えたが、もうひとつの衝撃としてこの曲があった。僕はいわゆる動画サイト世代ではないので、動画サイトで活躍しているクリエイターにはものすごく疎かったのだが、そういうおっさんを黙らせるだけのものをガツンと世に放ってみせたのだから、ryo(supercell)はやはり偉大だなと思う。おそらくここで評価されなかったら、歌い手のデビューも、動画サイト出身のクリエイターの進出も、もう少し遅くなっていたのではないだろうか。そういう意味では本当にパイオニア的存在と言ってもいいだろう。
ボーカルはnagi、もう知らない人はいないであろう、その後、やなぎなぎとして活躍するシンガーソングライターだ。彼女の声の美しさは本当に素晴らしいが、この曲では大きな主張をし過ぎていないところがすごく良いところだと思っていて、歌詞がものすごくドラマチックで、映像がはっきりと見えるものなので、そのストーリーをそこまで邪魔しない立ち位置に自然としているのではないかと思っている。サウンド的も、きっとものすごく緻密な計算がされているのだろうが、それも、しっかりと聴き手の心のなかで出来上がる一本の映画を最高の形で完成させるという意図を持って、練られているような感じがする。
フルサイズも最初から情景が見えやすい歌詞なのだが、アニメだと最初のフレーズが《「あれがデネブ、アルタイル、ベガ」》から曲が始まる(12話を除く)。ここの引っかかりが本当に見事で、原作にあるセリフといえばそれまでなのだのが、一気にその物語に入っていけるパワーワードだなと思った。そして、TVサイズとフルサイズを聴き比べると、歌の物語の印象がだいぶ違って聴こえてくるのも面白い仕掛けだなぁと思う。天晴。
それにしても戦場ヶ原ひたぎと羽川翼って、究極の選択過ぎですよね…。
『ご注文はうさぎですか?』のシリーズ楽曲毎日紹介の執筆やイベントパンフレットの制作、内田真礼さん、三森すずこさんのライブパンフレット、『まちカドまぞく』『ちはやふる』のブックレットほか、雑誌やWebなどで執筆をしているフリーライター。
アニメBlu-rayブックレットの執筆(「五等分の花嫁∬」「まちカドまぞく」「まちカドまぞく2丁目」「「ちはやふる」「リコリス・リコイル」etc.)、内田真礼、三森すずこなどのライブパンフレット、22/7写真集、久保田未夢UP_DATE執筆ほか、いろいろ