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- 塚越淳一
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毎日1曲ずつ名曲おすすめアニソンを紹介する連載企画「塚越淳一のアニソントラベラー」。毎週金曜日は懐かしのアニソン特集! 連載第40回は、『機動戦士Ζガンダム』より、森口博子さんの「水の星へ愛をこめて」です。
『ガンダム』シリーズに使用された曲の中でも屈指の人気を誇る曲のひとつでもあります。しかも、森口さんは今でもたびたびこの曲を披露してくださるので感謝の一言に付きます。進化し続ける歌声に多くのファンが魅了されていることでしょう。
個人的には同じ福岡出身ということもあり、勝手に親近感がわいています。そして、懐メロ特集饒舌ライター塚越さんの出番です!
懐かしの曲を紹介する金曜日。先週の金曜日の連載でせっかく90年代に行ったので、「ETERNAL WIND ~ほほえみは光る風の中~」を紹介しようかと思ったら、動画がなさそうだったので、同じく森口博子が歌う「水の星へ愛をこめて」を。えぇと、また80年代に戻ってしまいました(笑)。
彼女のデビュー曲「水の星へ愛をこめて」が、過去のガンダム曲の中でも一番好きなのだが、NHK『発表!全ガンダム大投票』でも見事に1位を獲得。何だか世界と繋がった気がした。それにしても、これほど普遍的な曲を作ってしまうニール・セダカはやはり素晴らしい。
ちなみに鮎川麻弥が歌う「Ζ・刻をこえて」「星空のBelieve」はニール・セダカのカバー曲なのだが、「水の星へ愛をこめて」は書き下ろし曲で、富野由悠季監督がニール・セダカに直接イメージを伝えている。しかも作詞の売野雅勇さんは、80年代を代表する作詞家のひとり(※中森明菜「少女A」など)。このようなポップス色の強さは、40年と続くシリーズで、ひとつのターニングポイントになっていると言えるだろう。
80年代というと、歌謡曲、ポップスがアニメに入ってきて時代で、ちょうど同じ時期に『タッチ』が始まっていたりするのだが(※『タッチ』は、「少女A」で作曲をしていた芹澤廣明が音楽&主題歌の作曲を担当していたりする)、ここでアメリカの名シンガーソングライターを連れてきてしまうあたり、スケールがデカい! と、今にしてみると思う。ただ、それが1位なのだから、やはり良い曲は残リ続けるという証明とも言えるだろう。
そんな強力な作家陣というバックアップがある状況だったものの、歌うのが新人の森口博子というのは、レコード会社の思惑もあっただろうがチャレンジだったと思う。だけど、誰が歌うかというより、周囲の期待に応えられるかが大事だと思うし、それに新人かどうかなんて関係ない。要するに森口博子は見事に歌い切った。この曲を誰よりも美しく歌い上げ、しかも変わらない歌声を今なお響かせ続けている。それは本当に奇跡だ。
僕も何度か生で聴かせていただいたことがあるが、感動しかしていない。発売当時はライブに行けないような年齢だったわけで、そういう意味で、時代が変わっても変わない歌声で歌い続けてくれていることに感謝したい。
それと、爆煙の中からガンダムMk-Ⅱが出てくるというOP映像が抜群にカッコよかった! 映像の後半にはZガンダムも登場するのだが、新しいモビルスーツ(ロボット)がOPで見られるのって震えますよね? ちなみにこれは『それでも町は廻っている』など、センス溢れるOPを数多く世に送り出してきた梅津泰臣さんによるもの。
まだ若手時代の作品ではあるので、ZのOP/EDには苦い思い出があるとインタビューで語っていたりするのだが、見ているほうからすれば、そんなことは関係なく、このOPに胸踊らせていたのは間違いない。正直、物語の内容は見直すまでまったく理解していなかったので、このカッコよさが一番記憶に焼き付いている。
そして、劇場作品の『機動戦士ガンダムF91』の主題歌、森口博子の「ETERNAL WIND ~ほほえみは光る風の中~」も『発表!全ガンダム大投票』では3位に輝いている。これだけ数多くあるガンダム曲の中で1位と3位にランクインするっていうのは相当なものなので、これは彼女とガンダムの親和性と言えるのかもしれない。
ガンダムというシリーズが巨大になればなるほど、関わるアーティストも豪華になっていき、もはやガンダムの音楽と言われても、どういうものなのかがよくわからないくらい幅広いものになってしまっているが、その中で燦然と輝く森口博子という存在。ガンダムを代表する歌姫として、今後もシリーズに関わっていってほしいと切に願う。ちなみに一度だけ取材することができたのは大切な宝物です。たい焼きもらいました。ごちそうさまでした。天晴。
『ご注文はうさぎですか?』のシリーズ楽曲毎日紹介の執筆やイベントパンフレットの制作、内田真礼さん、三森すずこさんのライブパンフレット、『まちカドまぞく』『ちはやふる』のブックレットほか、雑誌やWebなどで執筆をしているフリーライター。
アニメBlu-rayブックレットの執筆(「五等分の花嫁∬」「まちカドまぞく」「まちカドまぞく2丁目」「「ちはやふる」「リコリス・リコイル」etc.)、内田真礼、三森すずこなどのライブパンフレット、22/7写真集、久保田未夢UP_DATE執筆ほか、いろいろ