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- 塚越淳一
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毎日1曲ずつ名曲おすすめアニソンを紹介する連載企画「塚越淳一のアニソントラベラー」。毎週金曜日は懐かしのアニソン特集! 連載第54回は、TVアニメ『けいおん!』より、放課後ティータイムの「U&I」です。
TVアニメの放送が終了したのが2010年、映画が公開されたのが2011年の『けいおん!』。今でもその名作ぶりはみなさんも耳にしているのではないでしょうか。
当時、アニメに全く興味のなかった先輩から「『けいおん!』の映画見に行こう!」と言われてびっくりしたものでした。
それだけ社会現象にもなった本作から、なぜこの曲をチョイスしたのか。塚越さんに語っていただきましょう!
金曜日は懐かしのアニソンを紹介していたけど、月曜日の『とらドラ』で、すでに懐かしのアニソンだということが判明し、時が経つのは早いなと思っている。
自分にとってスピッツの『とげまる』って超最近の作品なんだけど、もう10年前の作品だったりするので、30歳過ぎたらあっという間! ってことで、気をつけてください。
本来のアニソンの流れとしては、『涼宮ハルヒの憂鬱』(06年)の「ハレ晴レユカイ」があって、動画時代ということもあって、大きなブームになったのだけど、僕自体、恥ずかしながら後追いだったりするし、そもそも語られ尽くしている気がするので、今回はリアルに追いかけていた『けいおん!』を紹介したい。
アニソンがメインストリームに躍り出てきた感覚というのは、『マクロスF』と『けいおん!』で味わった気がする。『Mステ』のランキングでジャケットが出てきたときは、いったい何が起こっているのか? と目を疑ったものである。
それまでって「アニメ好き」は隠しておくべきもので、たぶん今、30代後半あたりの人くらいまではそんな感覚だったと思う。でも、そうでもなくなってきたのかなと感じ始めた僕にとってはある種、事件だった。
しかもこの頃は、高校の軽音楽部に取材に行く機会が多かったのだが、「Don't say "lazy"」(第1期のEDテーマ)をやっているバンドは必ずいたし、『けいおん!』の影響で女子部員が増えたなんて話も実際に聞いた。
これは、『けいおん!』で流れる楽曲が基本バンドサウンドで、実際には難しかったりするけど、弾いてみたくなるようなシンプルなアレンジの曲が多かったのも良かったのだろう。
もちろん『涼宮ハルヒの憂鬱』からの京アニ人気という下地もあったと思う。その温度感までは世代ではないので憶測なのだが。
『けいおん!』で主人公、平沢唯が組んでいたバンドが放課後ティータイムで、「わたしの恋はホッチキス」とか「五月雨20ラブ」のイントロが超好きだな! などなど、好きな曲はたくさんあるのだが、その中でも、聴いて号泣したのは「U&I」だ。作曲は「Don't say "lazy"」と同じく前澤寛之さん。歌で泣いたのって、この曲くらいかもしれない……。
平沢唯は、とにかくダメな姉で(笑)、身の回りの世話とかはだいたい妹の憂(うい)がやっていたのだけど、憂への感謝みたいなのがタイトルからも歌詞からも感じられる。
そして放課後ティータイムにとっての最後の学園祭で、憂とのやり取りが少しあったあとに、ラストナンバーとして歌われたのも印象深い(『けいおん!!』#20「またまた学園祭!」)。
切ない曲調が泣けるのは分かるけど、こういうメジャー調で明るくてスピーディーなのに泣けるっていうのは、それまでのストーリーの積み上げもあるけど、作詞と作曲のバランスの妙だなと思う。天晴。
さらにもうひとつ言いたいのは、竹達彩奈がライブハウスライブで、「U&I」をギターを弾きながらカヴァーしたということ。これはすごく嬉しかった。誰か身近に感謝したい人がいる人は、この曲を贈ったり歌ったりしてほしい。10年以上経っても、全然色褪せない名曲だ。
『ご注文はうさぎですか?』のシリーズ楽曲毎日紹介の執筆やイベントパンフレットの制作、内田真礼さん、三森すずこさんのライブパンフレット、『まちカドまぞく』『ちはやふる』のブックレットほか、雑誌やWebなどで執筆をしているフリーライター。
アニメBlu-rayブックレットの執筆(「五等分の花嫁∬」「まちカドまぞく」「まちカドまぞく2丁目」「「ちはやふる」「リコリス・リコイル」etc.)、内田真礼、三森すずこなどのライブパンフレット、22/7写真集、久保田未夢UP_DATE執筆ほか、いろいろ