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“オタク”がいなくなった世界に考える、1000日後のエンターテインメント

【今一度考えてみよう】“オタク”がいなくなった世界に考える、1000日後のエンターテインメント

緊急事態宣言が空けた後の世界

2020年6月現在、緊急事態宣言や東京アラートが解け、徐々にあの頃の日常が戻ってきつつある。ただ、問題のウイルスについては未だ不透明なままで、いつになったら正式に多くの人々が集まってもいい状況ができるのかは全く見えていない。

それだけ厄介な問題であるし、国内外で本件について研究に従事している方々には心から頭が下がる思いである。

今、日本は少人数のお客様を会場に入れたエンターテインメントが徐々に再開されてきた。舞台やライブ、イベント。無観客で開催されたものもあったが、やはり演者とファンが同じ空間にいることに意味があるのだと僕は感じている。

こんなエピソードもあった。声優・アーティストの鬼頭明里さんがソロライブツアーのチケット価格を改定した。改定前の価格である6,800円から12,000円へ。約2倍の金額への引き上げである。

これは僕の見解だが、英断だと思った。誰かがこの動きを見せなくてはならなかったためだ。

観客を会場に入れることができない場合、チケット収入が減益になる。採算を考えると手痛すぎる打撃だ。ブシロードグループの創設者である木谷高明さんはこう語っている。

瞬間的な損益だけを考えるのであれば“開催しないことが一番リスクが低い”と。それでもイベントを行う理由についてはこう語っている。

鬼頭明里さんのスタッフはライブを楽しみにしているファンのために、どうすれば開催できるかを考え抜いた結果、価格改定に至ったのだ。

仮に開催中止となった場合、グッズや映像コンテンツ(収録が行われた場合)の販売も無くなってしまう。

「イベント開催の停滞はコンテンツ活動停滞に繋がる」

負のスパイラルを止めるために動いた人々は、もっと称賛されるべきだと僕は思っている。

そして、これからきっとこうした新しい適正価格のチケットは増えていくだろう。一方で、ライブビューイングが強化されていく可能性もある。

6人組のロックバンド『UVERworld』は、結成20周年の記念ライブをファンクラブ会員限定の無観客という形式で行った。

『八月のシンデレラナイン』は「ハチサマ無観客配信LIVE」を開催し、YouTubeとニコニコ動画の合計視聴数は50,000を超えたという。

エンタメは死なない。そんな、断固たる決意が飛び交った2020年の春。この期間を通じて、新しい発見は数多くあった。

ここからは1000日後の予想をいくつか挙げてみる。

【1】自宅での4DX環境

まずは自宅での4DX環境を実現するシステム。これが現実にあれば、物理的に会場へ足を運べない方でも、これまで以上の体験を得られることになる。

僕の知人の話だが、無観客ライブの体験をどうにか引き上げられないかと考えた結果、音質の良いスピーカーに接続し、毛布を被りながら動画を視聴したらしい。結果は「悪くなかった」そうだ。

音の響きや温度を調整することで、自宅でのエンターテインメント体験がグッと向上する可能性はまだまだある。

段ボールを魔改造して4DX台頭したボックスを制作する方が1000日以内には出てくることをここで予言しておこう。

【2】進化するライブ・ビューイング

次にライブ・ビューイング。こういった状況になったからこそ、気づくことができた。電子チケットを販売し、劇場だけでなく、自宅で視聴できるライブ・ビューイングを解禁するのだ。

また、プラチナ、ゴールド、シルバーなどランク性にして、見えるカメラワーク(好きなカメラが選択できるようになるなど)で金額を変える。安価であれば、ライブに行ったことがないファンへリーチすることも可能になる。また、ライブ当日の通販で購入したグッズが届くように企画が設計されていれば、更に自宅でライブ気分を味わうこともできるだろう。

音楽や映像のサブスクリプションサービスが普及したことで、低画質、低音質の動画は価値を失った。質の低いものでも我慢しなくとも、高品質なコンテンツが溢れかえっている。であれば、流出するリスクを十分にケアしつつ、新しいマネタイズを狙うチャンスが出てきたようにも思うのだ。

「ABEMA」が有料オンラインライブ「PayPerView」(ペイパービュー)」機能をリリースしたようにこれからリアル×ネットを前提にしたサービスが続々と生まれるに違いない。

■PayPerView

また、お渡し会や握手会といったものも、代替案としてオンライン上で行われるイベントに変わる可能性もある。

【3】リッチな体験を加速させるVR

そして、VR(Virtual Reality)だ。VRデバイスの躍進にも注視したい。従来の映像機器とは一線を画す没入感を生むVRは、電話が家庭に一台から一人一台に変ってきたことを考えると、そう遠くない未来に普及していることが想定される。

より人々がよりリッチな体験を求めるようになると、没入感で右に出るものがいないVRが一世風靡する可能性は十分にあるのだ。

また、一部で話題となっているソーシャルVRアプリ「VRChat」への注目も集まると予想している。

【4】高騰するリアルな体験

先程、鬼頭明里さんの例を挙げたが、その他にも現実で体を運んで何かを行う体験が高騰する可能性がある。

日本でもようやくネットに比重を置く動きが見え始めたが、これまでのリアルな場所で集客するビジネスモデルをすぐさま変えることはできない。

そもそも多くの人を集めるという行為自体がタブーとなるため、どうしても今までのビジネスモデルに沿った体制を取るならば、集客人数を減らし、一人あたりの単価を上げなければいけなくなる。

必然的にリアルな体験は、金額的にもより高価なものになり、延いてはプレミアが付き始めるだろう。

アニメイトも例外ではない。この後の自粛の第二波、第三波が来るようなら、店舗に行く事自体がプレミアになるのかもしれない。

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