この記事をかいた人
- 阿部裕華
- アニメ・音楽・映画・漫画・商業BLを愛するインタビューライター
良いお年を! と言いながらまだまだ記事は続きます。もうちょっとだけお付き合いお願いできればと!
「BLを勉強したい!」と思って半ば見切り発車で始めた本企画。読者のみなさんのおかげで2020年を走り切ることができました。改めて、本当に本当にありがとうございました。
仕事という枠組みではありますが、BLという世界に触れてとても濃厚な1年になったことは間違いありません。まさか自分がぐちょぐちょになっちゃう受けを見て「ややや!!!」となるなんて思ってもいませんでしたよ……。
といっても、まだ僕はBLという世界の扉を少しだけ開いて、頭だけをひょっこりとのぞかせている状況です。新しく見えるようになった景色、聞けるようになった音、嗅げるようになった匂い、嗜めるようになった味はあるけれど、未だ見ぬ大陸で輝いている禁断の果実はまだまだ存在しているのです。
2021年はセンセイと一緒にその禁断の果実を探しに行く旅がまた始まることでしょう。読者のみなさんも、もはやBL塾の生徒のようなものです! 一緒に未知の大陸を探すクルーとなって、BLという大海原に繰り出せるのを楽しみにしています。
そして、そんなクルーのみなさんと一緒に作り上げる企画も考えております。まずは、「僕たちBL塾にやってもらいたいこと」を読者のみなさんに募集企画です!
「こんな企画をやってもらいたい!」「企画楽しみにしています!」といったご意見やご感想はもちろんのこと、「これってどういうこと?」「あの○○を調査してほしい!」といったアイディアでもかまいません。要は探偵ナイ○スクープみたいなあれです。
応募フォームをご用意いたしましたので、こちらから投稿お待ちしております!
ということで今年の締めは、恒例の読書感想文。今回はセンセイチョイスの2020年おすすめBL作品を2冊用意してもらいました。ぜひご購入の参考にしてみてくださいね!
では、また来年みなさんとBLを楽しめるのを心待ちにしております! 良いお年を〜!
BL+旅行ものという初めて触れるジャンルでとても新鮮! 僕も旅行好きで日本各地を転々としているんですが、海外はまだ行ったことがなく、「いいな〜楽しそうだな〜」とニコニコしながら読み進めていける楽しい作品でした。しかも連載作品ということで、まだ第一巻!
まじめで心配性な鈴村朝日(受け)と佐山深月(攻め)のカップルが、一念発起して海外旅行をするお話で、なんと言っても世界各地の街の描写がとても細やかで美しいんです! 有名な観光地もちょこちょこと登場するので、「なんか見たことある」「ここ行ったことある!」と思えるところが作品への没入感を手助けしてくれます。
あと、料理もたくさん登場するんですが、どれも美味しそうで夜中に読むときは注意! でも読むのが止まりません……!
旅漫画としても十分に楽しめるのはもちろんのこと、世界各地の文化に触れながら朝日と深月の価値観が変化していく様も見事に描かれています。
同性と付き合っていることを外では見せることができなかった朝日。深月のグイグイと来る性格と異国の文化も相まって、お互いの関係性を少しずつ見直していきます。でもまじめな性格が邪魔して、二歩進んだら三歩引いて、三歩進んだら二歩引いて……という、なんとももどかしい状況が続いていきます。
このもどかしさも長編作品の醍醐味ではありますし、彼らの導き出す答えをゆっくりと楽しみたい方にはとってもおすすめの作品ではあるので、物語をじっくりと楽しみたい方はぜひチェックを。
あと個人的な感想ではあるんですが、性格が暗めなのが“朝日”で、明るめなのが“深月”というものおもしろいポイントだなぁと思っています。こういう妄想で楽しむのもBLのいいところですよね。
さらに言及すると、本作はセンセイが激推の“黒髪メガネ受け”。この黒髪メガネの朝日、普段はしれっとしているんですが攻められると弱いタイプで、たまに見せる照れ顔が破壊力抜群なのでお楽しみに……。
深月も深月で、朝日の扱い方が上手で、くっっそ甘え上手なので、「はー!こいつら永久に幸せになれ」と20回は思えるほどでした。
遠い異国と二人の幸せを探す旅に光あれ!
もうズバリ言います。これ、めっちゃいいです。
何が良いって、全てのシーンがどことなくオシャレで、優しくて、設定も素敵なところです。
世渡り上手でおひとり上手な野末(受け)は、もうすぐ40歳。仕事もそこそこにひとりで楽しく暮らせればいいと思っていたところ、ひょんなことから10歳年下の後輩・外川(攻め)とパンケーキを食べに行くことに。
そこから始まった二人で女の子のような趣味を楽しむ“女の子ごっこ”。といっても、かわいいスイーツを食べに行くばかりなのですが、ゆるっとストーリーが転がって行き、後半になるにつれてゴロゴロと展開がスピードアップしていきます。
野末のことが好きな外川は、同じ職場の上司ということでギリギリ引かれない程度にアピールを繰り返していきます。そして、外川のアピールも積極的になっていき、野末は世間体を気にしながらもまんざらではない様子で……。
という感じで、大人の恋愛、職場恋愛、年の差恋愛といったジャンルが好きな方は間違いなくドハマリする作品です!
二人の非対称な感じも素敵です。野末は年齢に反して若い感じで社内にもモテまくり。社内にもファンが大勢いて、野末はその気はないのに相手をその気にさせちゃう、生まれながらの女たらし。
一方、外川はイケメンかつまじめで、THE肉食系男子といったタイプ。グイグイと行動できる頼れる男性です。
この全くタイプが違う二人の関係は、ずーっともどかしいのが続いてやきもきさせられるのですが、終盤は「きゃー!」となること間違いなし。二人の関係もスイーツのように甘くなりますよ……!
野末が外川にほだされてほだされてほだされて……コロッ! という王道な展開ではありますが、外川がいくつものハードルを超えながらエスカレートさせていくアピールがなんともイケメンで、思わず応援したくなります。
野末視点で読み解くと、ゆっくりと自分の気持を整理していく姿が丁寧に描かれているので、二人の関係性をじっくりと楽しみたい方におすすめだなと思っています。
大人だからこそ越えられない壁を二人はどうやって切り崩していくのか。ぜひ、ご注目ください。
アニメ・音楽・映画・漫画・商業BLを愛するインタビューライター。Webメディアのディレクター・編集を経て、フリーライターとしてエンタメ・ビジネス領域で活動。共著「BL塾 ボーイズラブのこと、もっと知ってみませんか?」発売中。