春アニメ『群青のファンファーレ』宝生迅人役:豊永利行さんインタビュー|競馬学校を舞台にしたヒューマンドラマ。競馬業界のリアルさ、登場人物たちの心の動きに注目!【連載8回目】
4月2日より放送開始したTVアニメ『群青のファンファーレ』。競馬学校で騎手(ジョッキー)を目指す少年たちの青春群像劇を描くオリジナル作品で、入学から卒業までの3年間が描かれます。
少年たちの“青春”だけでなく、競馬学校ならではの過酷さも描かれる本作。騎手を目指す道にはたくさんの壁が待ち受けており、彼らがどのように乗り越えていくのか、成長過程が魅力でもあります。
そこで、アニメイトタイムズでは、メインキャスト8名にインタビューを実施。第8回目にお届けするのは、宝生迅人役の豊永利行さんです。
豊永さんが演じる宝生迅人は、小学生時代から乗馬大会で入賞してきた実力の持ち主。真面目な性格で、周囲をまとめる委員長的な存在です。
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驚きがいっぱいの競馬学校
——本作は競馬学校を舞台にしたオリジナルアニメ作品です。最初に、脚本や設定を読まれたときの印象をお聞かせください。
宝生迅人役・豊永利行さん(以下、豊永):純粋にリアルを描いているというか、実際競馬学校の生徒たちはこういう厳しい訓練をしているんだなと、本当に限られた人しかなれない職業なんだなということがすごくわかる作品だと思いました。
青春群像劇で、10代の子たちが頑張っていく様や葛藤などリアルな様子も描かれています。
あと、主人公の有村優くんが元々アイドルというところからスタートするというのが一つのスパイスになっているなと。
アイドルという存在は、だれでも馴染みがあると思うので、その馴染みやすさというところから普段あまり触れることのない競馬学校について興味を持ってもらう導入部分になっていて、なるほどな〜!と。今の時代の流れに沿って、視聴者の興味に合わせて考え込まれた作品なんだなっていうのを感じました。
オリジナルアニメということで、もちろんいやらしい意味ではなくて、すごく戦略的なところからきっとこの作品は始まったんじゃないかとか想像しました。純粋に競馬のことを伝えたいんだっていう想いが伝わってきます。
——“元アイドルでセンターだった子が騎手になるために競馬学校へ入学する”という導入だけで、どういうお話になるのか気になりますよね。
豊永:そうですね。アイドルコンテンツが好きな方はたくさんいらっしゃると思いますし、そういうところからお話も膨らませやすいと思います。いわゆる導入の引き込みみたいな、吸引力がすごく強い作品なんじゃないかなと思います。
――ちなみに豊永さんは競馬学校のこと、ご存知でしたか?
豊永:もちろん、あることは知っていました。結構前に、競馬学校の生徒たちに密着する特番をたまたま見たことがあったので。とはいえ浅い知識ですけど、そういう学校があるんだということは知っていました。
それこそ僕ら世代だったら武豊さんが一世を風靡していた時代でしたし。ただ今回、この作品を通して、騎手の方々がこういう学校で訓練したり切磋琢磨したりしていたんだなと改めて知ることができて良かったです。
あと僕、ゲームが好きなので『ダビスタ』(『ダービースタリオン』)を結構やっていたことがあって。競馬学校ではないんですけど、ゲームの中でオーナーになって馬を育ててたことはあります(笑)
――おぉ〜!
豊永:ゲームの中では、この馬に誰を乗せるか、騎手を選んだり依頼したりできるんです。騎手の方によって、追い込みが得意とかの特性があったりするので、なんとなく騎手によって馬の乗り方や扱い方は違うんだと把握はしていました。
ただ改めて、実際のレースにも表れているんだなと思うとすごいな〜!と感じます。
――馬を育成するゲームで少し知識を習得されていたのですね。
豊永:はい。ゲームの中でGⅢやGIなどの大舞台のレースに優勝して喜んだりしていました。そういうところで「鼻差」や「馬身差」の用語も学びましたね。
――作中でも専門用語や競馬ならではのシステムみたいなものはたくさん出てきますが、豊永さん自身驚いたことはありましたか?
豊永:自分が練習のために乗る馬のお世話をしているシーンがあるんですけど、お世話まで騎手の方がやるんだなと。プロになったらお世話をする方が別にいらっしゃると思うんですけど、乗るテクニックだけじゃなくて馬の気持ちや寄り添い方を学ぶところはちょっと新鮮というか驚きました。
あとは、「馬主」のことを僕はずっと「ばぬし」だと思っていたんですよ。でもこの作品では「うまぬし」と呼んでいて。ほかにも、飛び越えるって書いて「飛越(ひえつ)」といった漢字の読みを初めて知ることがありました。専門業界用語的に新鮮なことがいっぱいです。
――体重制限があるというところにもびっくりしました。
豊永:騎手の適正体重が44.0〜46.5kgなんですよね。45kg前後じゃないといけなくて、40kg代じゃないとダメなの?ってびっくりしました。僕も結構小柄で細い方なんですけど、僕ですら50kgを超えているので、僕より細くないとダメなのかって。
あとは、脂肪、筋肉とかもつけておかなきゃいけないのに、体重もキープしなくちゃいけな
い厳しさや骨格的な問題、骨密度まで関係してくる繊細な重量の問題が騎手にはのしかかってくるんだなと。
そういった自分の力だけじゃどうしようもないものに直面する瞬間も作中で描かれています。これは辛いな……って思いました。
――頑張って乗り越えられる問題ならまだしも、身体的な問題は自分ではどうしようもないですもんね。
豊永:そうなんですよね。頑張りようがないっていうところが、本当にもどかしい。苦渋の決断をする方も実際いるんだろうなと思うと、なんて厳しい世界なんだと思います。