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- 小川いなり
- 会社員からライター、編集者の道へ。アニメ、漫画、特撮、映画など、手当り次第に鑑賞します。
2023年5月3日(水)より公開となったVシネクスト『暴太郎戦隊ドンブラザーズVSゼンカイジャー』(以下、『ドンブラvsゼンカイ』)。2023年2月まで放送された『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』と『機界戦隊ゼンカイジャー』(2021年)が共演するファン待望の作品です。
『スーパー戦隊』に新しい風を吹かせた2作品が"縁"を結ぶ本作。楽しみにしていた方も多いのではないでしょうか。また、『ゼンカイジャー』『ドンブラザーズ』の後日談として、キャラクターたちの"その後"が気になる方も多いと思います。
今回は、「ゼンカイジャー編」「ドンブラザーズ編」「VS編」の3部で構成される本作の見どころをパートごとに全力全開で紹介! 「まぜるな、キケン!」と言われた彼らが出会うとき、どんな科学反応をもたらすのでしょうか……。
※以下の内容はネタバレを含みます。映画を純粋に楽しみたい方はご注意ください。
TVシリーズの最終カイ!「俺の世界、みんなのセカイ」で並行世界を巡る旅に出た介人たち。久々にゼンカイトピアへ帰ってみると……かつてのような柏餅中毒者だらけの世界に再びなっていました。
そして、ツーカイザーことゾックス・ゴールドツイカーが「柏餅王」として君臨していたのです! 思えば、ゴールドツイカー一家が最初に大暴れしたのは柏餅回(第9カイ!)でしたね。今となっては頼りになるゾックスですが、敵に回ると非常に厄介。そもそも彼自身が単体でめちゃくちゃ強いということを、今回の映画で改めて思い知らされました。そんな絶望的な状況においても、介人たちは相変わらず前向きに、事態を解決するための策を巡らせます。
TVシリーズを観ていた方は「柏餅、2回目?」と思うかもしれません。トジテンドは既に倒されているので、封印された世界の能力を操る怪人「ワルド」は本来なら生まれないはず。しかし、今回の事件にはキツネトピアのある科学者が絡んでおり……。物語の理解を深めたい方は、『機界戦隊ゼンカイジャーVSキラメイジャーVSセンパイジャー』の鑑賞も併せてオススメします!
個人的に本作で一番嬉しかったのは、ハカイザーにしっかりとした出番があったことです。TVシリーズにおいて、介人の父である五色田功はトジテンドに洗脳され、機械戦士・ハカイザーとして生まれ変わりました。正体を知った介人、ステイシーの苦悩は『ゼンカイジャー』におけるドラマのハイライトだったと思います。そんな複雑すぎる出自のハカイザーが本作で再登場し、活躍する姿に思わず涙腺が緩んでしまいました。
放送開始から最終回まで、型破りな展開で話題を呼び続けた『ドンブラザーズ』。本作では、TVシリーズの1年後が描かれています。桃谷ジロウをリーダーとして活動を続けていたドンブラザーズですが、皆の心は既に戦いから離れてしまった様子。
冒頭では、メンバーそれぞれの新生活が描かれていきます。犬塚翼とソノニがスイーツ店を開いていたり、雉野つよしは社長になっていたりとかなりの変わりようです。誰もが上手くいってはいるものの、どこか空虚さもあり『ドンブラザーズ』らしい展開だなと感じました。
そんな中、衝撃的な方法(ぜひその目で確かめてください!)によって、タロウの記憶が戻り、皆のもとを訪ねていくことになります。特におでん屋を営むソノイとの会話は、言葉以上に2人の固い絆が感じられる名シーンでした。
さらに「謎の忍者おじさん」として、ファンから愛される大野稔も再登場! 今回は機界鬼に変貌して、ドンブラザーズに襲いかかります。本編で何度もヒトツ鬼になったうえ、遂に銀幕デビューまで果たすとは……。『スーパー戦隊』シリーズの中でも、これほどトリッキーな立ち位置にいるのは彼だけでしょう。
ドンブラザーズは解散してしまうのか。戻ってきたタロウは、皆にどんな言葉をかけるのか。キャラクターたちの変化とともに、それでも変わらないそれぞれの本質が垣間見えると思います。TVシリーズを最終回まで観た方には、必見の内容です!
そして終盤は『ゼンカイジャー』と『ドンブラザーズ』の物語が交わり、VS編に突入。待ちに待ったゼンカイジャーとドンブラザーズの共演です! と言いつつも、実はゼンカイジャーのメンバーは、ドンモモタロウと一度だけ会ったことがあります。第42カイ!「新ヒーローにゃ!おコタの密会!!」にて、センタイギアから召喚されたタロウと一緒に戦っているのです。それを踏まえた会話も少し出てくるので、歴戦のファンはニヤッとできるはず。
『ドンブラザーズ』には、喫茶どんぶらでマスターを務めるもう1人の”五色田介人”がいることも見逃せません。遂に出会った2人の介人が会話する場面はもちろん、ジュランたちの慌てぶりにも注目していただきたいです。
何より2戦隊のフルメンバーが並び立つのは、「VS」を冠する映画だからこそ実現する奇跡。クセ者揃いの2作品ですが、揃って戦うことで”スーパー戦隊感”がグッと出ていてめちゃくちゃカッコよかった! 新フォーム「ドンゼンカイモモタロウ」&「ゴールドンゼンカイザー」も登場し、クライマックスをさらに盛り上げてくれます。
戦いが終わり、それぞれの世界が平和を取り戻した後には衝撃のラストが…。詳細は省きますが、『ドンブラザーズ』のあるキャラクターについて、1つの結末が示されます。TVシリーズからの流れを踏まえると、個人的には納得の展開でした。いつの日か、彼の活躍が再び見られることに期待しましょう。
60分という短い時間の中にそれぞれの戦隊らしさが詰め込まれている『ドンブラvsゼンカイ』。コミカルとシリアスが濁流のように押し寄せる怒涛の展開が目白押しです。ファンは情緒がメチャクチャになるかもしれませんが、それでこそ『ゼンカイジャー』であり、『ドンブラザーズ』ですよね! ぜひ、劇場で彼らの共演を見届けてください。
並行世界を巡る旅から駄菓子カフェ「カラフル」に帰ってきた介人たち。しかし、そこでは新たなカシワモチワルドと“柏餅王”となったゾックスが、ゼンカイトピアを支配していた!? またもや柏餅中毒だらけと化した世界を救うため、ゼンカイジャーの新たな戦いが始まる! 一方、ドンブラザーズの世界では、タロウが去って1年、お供の5人は充実したプライベートを送りつつ、ジロウをリーダーに戦いを続けていた。 そんな中、記憶が戻ったタロウが喫茶「どんぶら」を訪れる。復帰を祝福されるタロウだが、同時にメンバー全員から受けたのはドンブラザーズ脱退の相談だった…。 それぞれの道を歩むことを決めた直後、再び現れた機界鬼がタロウに襲い掛かる! 2つの世界で勃発した事件が次元を越えた“縁”で結ばれたとき、2大スーパー戦隊の全力全開ミラクル・バトルが開幕する!
桃井タロウ/ドンモモタロウ:樋口幸平
猿原真一/サルブラザー:別府由来
鬼頭はるか/オニシスター:志田こはく
犬塚翼 /イヌブラザー:柊太朗
雉野つよし/キジブラザー:鈴木浩文
桃谷ジロウ/ドンドラゴクウ:石川雷蔵
ソノイ:富永勇也
ソノニ:宮崎あみさ
ソノザ:タカハシシンノスケ
桃井陣:和田聰宏
ドンムラサメ:村瀬歩
マザー:能登麻美子
五色田介人/ゼンカイザー:駒木根葵汰
ジュラン/ゼンカイジュラン:浅沼晋太郎(声)
ガオーン/ゼンカイガオーン:梶裕貴(声)
マジーヌ/ゼンカイマジーヌ:宮本侑芽(声)
ブルーン/ゼンカイブルーン:佐藤拓也(声)
ゾックス・ゴールドツイカー/ツーカイザー:増子敦貴
フリント・ゴールドツイカー:森日菜美
カッターナ・ゴールドツイカー:鈴木崚汰(声)
リッキー・ゴールドツイカー:松田颯水(声)
ステイシー/ステイシーザー:世古口凌
五色田ヤツデ:榊原郁恵
五色田功:川岡大次郎
五色田美都子:甲斐まり恵
セッちゃん:福圓美里
カシワモチワルド:阿部敦(声)
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