溢れんばかりの愛情を声に乗せてーー“「美少女戦士セーラームーン」細胞”から滲み出た演技とは? 劇場版「美少女戦士セーラームーンCosmos」水樹奈々さん&井上麻里奈さんインタビュー
“「美少女戦士セーラームーン」細胞”から出た声と愛
ーー90年代アニメの「セーラースターズ」から取り入れたこと、漫画から感じ取ったことなどがありましたら教えてください。
水樹:改めて原作を読んで感じたのは、うさぎちゃんのピュアな愛とエネルギーです。ドジで泣き虫だけど、みんなに支えられ少しずつ強くなり、重い運命にも立ち向かえるようになっていって…弱い自分も受け入れて前に進む姿に、共感し沢山の勇気をもらいました。この作品からいただいたエネルギーをそのまま、演じる際に込められたらと思いました。
自分の中に息づいている “「美少女戦士セーラームーン」細胞”を声に乗せられたらいいなと(笑)。新たに「セーラームーン」を知る世代の方もいらっしゃると思うので、このエネルギーの橋渡しができたらいいなと思います。
ーー火球皇女の愛情深さはどのように声に乗せましたか?
水樹:セーラースターライツのことを思えば自然に出てきました。
井上:嬉しい!
水樹:プリンセスとして、世界を救うため、大切な人達を守るために自分には何ができるだろうと常に考えて動いているので、緊張感や力の入る感じはあるのですが、スリーライツのことを思うときっと心が安らぐ部分があるのではと思ったんです。
ーー確かに、火球皇女は大事な場面で変身しますが、力み過ぎず可憐でした。
水樹:私にとっては初めての変身ですが(笑)、彼女はきっとこれまでもピンチの際には変身して戦ってきた戦士なので、力み過ぎず毅然とした姿勢で敵に立ち向かうと考えました。色々な思いを内包しながら、それをどこまで出すか、バランスが大切でした。
ーー星野の変身場面はどのように録られましたか?
井上:私たちの思い描く変身シーンが存在して、ごっこ遊びで幾度となくやってきましたが、(セーラースターヒーラー/夜天光役)佐倉綾音さんは世代ではないので、当時を振り返らず、新たに私たちならではの掛け声をどうやっていこうかと考えました。
今までのシリーズに出てきたセーラームーンたちとは違う、銀河の別の星から来た感じの異質な掛け声ができたらなと思い、シャープな掛け声にしました。
ーー「セーラースターライツが現れた!」という印象がしっかりと残りました。変身後の変化はつけていますか?
井上:特別意識した訳ではないですが、ひょっとしたら無意識化で絵に合わせて若干の変化はあったかもしれないですね。
水樹:その絶妙な塩梅が「素敵!」と思っていました。
おふたりから見た、星野と火球皇女の推しポイントは?
ーー完成した映像を見た感想を教えてください。
井上:本当に「美少女戦士セーラームーン」の世界に入れて感動しました。自分のお芝居を見る気恥ずかしさはありますが、一ファンとして完成を見られて嬉しかったです。うさぎちゃんの孤独な戦いが描かれているので、感情移入して泣きながら見ました。
水樹:自分が演じた部分は素になってドキドキしてしまいますが(笑)、それ以外は一ファンとして作品に深く入り込んで、麻里奈ちゃんと同じくうさぎちゃんの戦う姿に涙しました。
ーー別収録とのことですが、お互いの声を聞いた感想はいかがでしたか?
井上:私は台本を見た時から、「水樹さんぴったり!」と思っていました。
水樹:本当!?
ーーおふたりを予想していた方も多いようで。
井上:でも、私も(自分が)星野ではないだろうと(笑)。
水樹:えぇ?!ぴったりだよ!
井上:もう、水樹さんの名前を見た時から細胞レベルで「我々のプリンセスだ」って思いました。お声も聞きながら「この声を聞きたかったんです。探していましたプリンセス」という思いが溢れ出ました。
水樹:ありがとう!!私も同じく、声を聞くのがすごく楽しみでした。麻里奈ちゃん演じる星野くんの声を聞いて「わぁ!ピッタリ! うさぎちゃん揺さぶられちゃう」って(笑)。
井上:でも、まもちゃんいますから(笑)。
水樹:クールなのにちょっと艶っぽいんですよ。そこが麻里奈ちゃんの声がバッチリハマっています。変身後は雰囲気も変わるので、うさぎちゃんや火球皇女の美しさとも、ウラヌスとも違う格好良さがあります。
ーー演じられたおふたりから見た、星野と火球皇女の推しポイントはどこでしょうか?
井上:格好良いところです。本当に大切な人(火球皇女)を探しながらも、惹かれていくうさぎちゃんを自分のやり方で守ろうとするんです。その寄り添い方が強引ではなく、優しさと情熱に溢れていて、本当に戦士として格好良いのが推しポイントだと思います。
水樹:やっぱり変身シーンです。大事な場面でセーラー火球に変身します。普段は物静かで奥ゆかしい彼女ですが、大切な世界と仲間のために全力で戦う姿をぜひ見ていただきたいです。
ーー映画を心待ちにしているファンの方へメッセージをお願いします。
井上:劇場へ足を運んでくださる方は、きっと大の「美少女戦士セーラームーン」ファンだと思うので、まずは物語の完結をしっかりと見ていただきたいなと思います。
「星野光は初恋である」という声もあり、プレッシャーも感じていましたが、ファンの方に寄り添いたいと思いながら精一杯演じさせていただきました。少しでも皆さんのお好きな星野光に近づけていたら嬉しく思います。うさぎちゃんの戦いを存分に見ていただいて、うさぎちゃんの選択を見守ってください。
水樹:30周年記念で制作された「美少女戦士セーラームーンCosmos」は、不安を抱えて生活しているコロナ禍の今だからこそ、世代を越えて響く作品だと思います。うさぎちゃんは孤独な戦いに身を投じますが、心で仲間と繋がっているから、見えない未来に向かって一歩踏み出せます。人と人との繋がりの大切さを改めて感じる今、うさぎちゃんの戦いを通じて愛と勇気を受け取っていただけたら嬉しいです。
[取材・文・撮影/杉村美奈]
劇場版「美少女戦士セーラームーンCosmos」作品情報
作品名 | 劇場版 美少女戦士セーラームーンCosmos |
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スケジュール | 【前編】2023年6月9日(金) 【後編】2023年6月30日(金) |
あらすじ | 月野うさぎたちは、束の間の平和を取り戻し、普通の女子高生としての生活を送っていた。 その矢先、うさぎの恋人である地場衛がアメリカへ留学することに。衛の見送りの空港で、うさぎは衛から婚約指輪を渡される。ふたりが未来を誓った直後、衛は何者かの手によってうさぎの目の前で消滅させられてしまう。 衛が消えた現実を受け止めきれないうさぎは、その記憶を心の奥底にしまい込んでしまった。 そんな中、うさぎたちの前に、突如セーラーギャラクシア率いるシャドウ・ギャラクティカ、そしてセーラースターライツが現れる。セーラースターライツが敵か味方かわからないまま、セーラー戦士たちは圧倒的な強さを持つセーラーギャラクシアに、力の源である“セーラー・クリスタル”を奪われ、次々と消されていく。 ふたたび自分の愛する人たちに出会えることを信じて――。 |
キャスト | 月野うさぎ/エターナルセーラームーン:三石琴乃 水野亜美/スーパーセーラーマーキュリー:金元寿子 火野レイ/スーパーセーラーマーズ:佐藤利奈 木野まこと/スーパーセーラージュピター:小清水亜美 愛野美奈子/スーパーセーラーヴィーナス:伊藤静 ちびうさ/スーパーセーラーちびムーン:福圓美里 天王はるか/スーパーセーラーウラヌス:皆川純子 海王みちる/スーパーネプチューン:大原さやか 冥王せつな/スーパーセーラープルート:前田愛 土萠ほたる/スーパーセーラーサターン:藤井ゆきよ 地場衛/タキシード仮面:野島健児 星野光/セーラースターファイター:井上麻里奈 大気光/セーラースターメイカー:早見沙織 夜天光/セーラースターヒーラー:佐倉綾音 セーラーギャラクシア:林原めぐみ 火球皇女:水樹奈々 ちびちび:三石琴乃 セーラーアイアンマウス:小泉瀬奈 セーラーアルーミナムセイレーン:村瀬歩 セーラーレッドクロウ:日笠陽子 セーラーティンにゃんこ:伊瀬茉莉也 セーラーヘヴィメタルパピヨン:工藤晴香 セーラーレテ:三上枝織 セーラームネモシュネ:伊藤かな恵 セーラーφ(ファイ):水沢史絵 セーラーχ(カイ):小松由佳 セーラーコスモス:北川景子 |
スタッフ | 原作・総監修:武内直子 監督:髙橋知也 脚本:筆安一幸 キャラクターデザイン:只野和子 音楽:高梨康治 美術監督:空閑由美子(スタジオじゃっく) アニメーション制作:東映アニメーション スタジオディーン 配給:東映 |
主題歌 | 「月の花」Daoko |
(C)武内直子・PNP/劇場版「美少女戦士セーラームーンCosmos」製作委員会