
『アークナイツ【冬隠帰路/PERISH IN FROST】』渡邉祐記監督&西川将貴副監督インタビュー|フロストノヴァは絶対にはずせない、一番気を使わなければいけない繊細なキャラクター
フロストノヴァ自体がキャラクターの視線、目元に注目しているところがある
――個人的な印象にはなってしまうのですが、本作はシーズン1から通してキャラクターたちの表情や、特に目のアップのカットにはこだわりを感じます。キャラクターたちの感情がとても伝わってくると思っていたのですが、この辺りは意図したものですか?
渡邉:私は意図しております! 私の個人的な趣味趣向の話になるのですが、やはり目と眉いうものが一番感情が出るところだと思っているので、1番力を入れる体のパーツだと思っています。
アニメという媒体が誇張の媒体なので、そこでどれだけキャラクターの感情をこめられるのかで、全体の流れがつくられるところがあって逆にそれしか見せないことで、お客さんに想像の余地が生まれたりすると思っています。
「目は口ほどにものを言う」というぐらいなので、、そこを主軸に前後のカットを組み立てていくことで、絵のカロリー以上のものがそこに情報が込められるのです。
10話で「戦士の目をしている」とフロストノヴァが言っていると思いますがフロストノヴァ自体が、キャラクターの視線、目元に注目しているというのもあるようなので、今回はそれも含めて意識している部分はあります。後半の話数にもあるので、楽しみにしてください。
西川:現状見て頂いている映像だけで言いますと、エンディングにも出ていますよね。
渡邉:そうですね。私は目のドアップを使いがちなのですが、エンディングに関してはわざとキャラクターの目を外していて、唯一カメラが引いていくカットで、モブのレユニオン兵の仮面の中の目だけがドアップに映るのですが、それ以外はわざとタルラの目だけ映しています。目元がうつらないキャラクターたちは手のひらの上で転がされているという意味を込めています。
目を見せる見せないで、その人の立場も変わってきていて、見せないことでも演出ができる、重要なパーツです」。
――シーズン2において、キャストさんたちへの演出やディレクションで印象に残っているものは?
渡邉:みなさん素晴らしかったです。1期から引き続きやられて方々は、ご自身の中でも解像度が上がっているところもあるので、私が素晴らしいです! と言って終わるだけのところも多いですし、逆に新しいキャラクターとのからみの部分は、どう解釈したら良いかという難しい部分がありますので、話し合ったりはしました。
例えば、ドクター役の甲斐田さんに関しては、ドクターというキャラクター像をどこまでどう出すかというのは話し合いました。
西川:声がついていなかったオペレーターを担当した方々は、最初から理解度が非常に高い感じのお芝居でした。最初、一通りテストでやって頂いて、そこからこうしましょうというやりとりを1回やったら、本番1発目でだいたいOKになるという、本当にみなさんイメージ通りの声でした。
――シーズン2でキーパーソンとなるキャラクターがフロストノヴァかと思います。とても印象に残る鮮烈なキャラクターで、原作ゲームでも人気が高いと伺っています。登場させると決まった際にプレッシャーなどはありましたか?
渡邉:絶対はずしてはいけない、、、
西川:正直に言いますと、一番気を使わなければいけないと思いました。
渡邉:単純に活躍させなければいけない、ということではなく、原作にある情報を外してはいけないという感じでいた。
西川:とくに繊細なキャラクターなので、少しでも空気がよめていない答えを作品として出してしまうと、「違う!」「そんなんではない!」という感じになってしまうのでかなり気を付けました。
渡邉:強いだけではなく、弱い部分もあるので、どれぐらい出していくかというバランスが非常に難しいキャラクターでした。原作のキャラクターの魅力を余すことなく映像に変換しなければいけないとも思って作業していました。
――また、フロストノヴァの戦闘シーンは中々にド派手なものとなっています。制作する上で苦労した点もお願いします。
西川:10話では、フロストノヴァ以外は表情がみえないんです。フロストノヴァが戦っている時に彼女の表情だけは見えるのですが、その表情が無表情かと思いきや、、、多少そこにそのキャラクターの今までの戦いについての考えだったりが出ているというのがあります。戦っている時に何で優しい口調の歌なのかなど。
渡邉:そういえば、歌の全体像はアニメで初めて登場するんですよね。原作サイドと相談の上、ゲームに登場している「ララバイ」という曲を和訳しました。その曲を歌っているフロストノヴァをちゃんと、美しく、そして悲しく見せなければいけないという、原作の彼女のニュアンスをちゃんと再現した戦い方というのを考えてみた結果です。
この先も皆さんが想像しているあたりのフロストノヴァの戦闘シーンも可能な限り原作を再現するようにやったつもりです!
――今後の物語も波乱の展開が予想されます。シーズン1から通して最終回までに見返してほしいエピソードはありますか?
西川:8話です。1期目の総括した話数ですので、8話をみると9話~12話、この先の13話以降もかなり思うところが色々と出てくるのではないかと思います。
渡邉:自分でやっていた話数でもあるのですが1話と16話です。自分でコンテをやっていたからできたことなのですが、かなり明確にアーミヤの変化をセリフでも表しているので注目して欲しいです。今は何を言っているか理解ができないと思いますが、16話を見たら何を言っているかわかると思いますので、その変化を見て頂きたいです
――放送を楽しみにしているファンのみなさんへのメッセージをお願いします。
西川:ゲームから始まって、「アークナイツ」が世の中に出て長い年月が経っていますが我々はアニメという部分で途中から加わらせて頂いて、かなり大きな作品になっていっており、人気も出て盛り上がっているなと、アニメを作りながらもヒシヒシと感じたので、まだ今後も色々と展開していくかと思いますので、今後とも宜しくお願いします。
渡邉:後半話数に向けて、原作を知っている方々は想像つくかとは思いますが、、よく寝てよく食べて元気な時に見ていただきたいと思います(笑)
西川:少々体力を持っていかれるかもしれません。
渡邉:楽しみにしてくださいと言いづらい内容が多いのですが見終えた時に何かしら、心の中に何かが残るようなものなっているとは思います。
『アークナイツ【冬隠帰路/PERISH IN FROST】』作品情報

あらすじ
それは人々の体を徐々に結晶化させ、死に至らしめる不治の病。
製薬会社ロドス・アイランドはその治療法を研究し、病が引き起こすあらゆる問題を解決するための取り組みを行っている。
感染者救済を謳うテロ組織"レユニオン・ムーブメント"の暴動を食い止めるべく、ロドスは炎国の都市である龍門と契約を交わし、活動を続けていた。
スカルシュレッダーとの戦いの後、アーミヤは、ミーシャを救えなかった事実を受け止めきれず、ひとり悲しみに暮れていた。
一方、龍門郊外に廃都市を発見したロドスは偵察隊を向かわせる。
そこで奇妙な現象が起きていることに気づくが――
キャスト
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