日向翔陽役・村瀬 歩さんの共感するキャラクターは「登場人物で誰に近いかというと、僕自身はたぶん孤爪研磨なんです」|『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』インタビュー
アフレコ収録現場に原作者の古舘春一先生登場
――アフレコ収録の雰囲気はいかがでしたか。
村瀬:久しぶりの『ハイキュー!!』の現場だったんですけど、「『ハイキュー!!』って、こういう感じだよな」という懐かしさもありました。
収録は梶 裕貴さん、中村悠一さん・石川界人(影山飛雄役)くん、内山昂輝くん(月島 蛍役)と一緒だったんですけど、音駒のメンバーもテレビアニメ1期の途中から登場しているので、「10年ぐらいで、けっこういろいろあったなぁ」みたいな話もしましたね。
――梶さんとの掛け合いはいかがでしたか。
村瀬:ここ4、5年ぐらい、梶さんと掛け合う役でよく一緒になるんです。梶さんは物静かな方なんですが、すごみや、圧のある表現がめちゃくちゃ絶妙で、底が知れない感じのお芝居を演出するのがお上手だなと思います。
収録現場にいる人たちは、梶さんと僕に限らず、みんな何かしらエネルギーを受け取って、繋いでいくというお仕事だと思っているので、いい刺激を受けています。
――収録現場では、キャストの方とどんなお話をされましたか。
村瀬:取り留めのない話や、プライベートだったり、マンガの話をしたり。もちろん『ハイキュー!!』の話もしました。
原作者の古舘春一先生も収録現場にいらしていたので、先生とお話することができました。
テレビアニメシリーズの収録時は、週刊で漫画を連載している最中だったため、アフレコ現場にいらっしゃることができず、今回初めて来ていただけました。すごく楽しんでいただけたみたいで、嬉しかったですね。
意志を受け継いで、ボールを繋いでいく
――多くの人々から愛される『ハイキュー!!』という作品ですが、村瀬さんから見て作品の魅力はどんなところだと思いますか。
村瀬:『ハイキュー!!』と出会う前、僕はバレーボールのルールを何もわかっていませんでした。『ハイキュー!!』のすごいなと思うところは、ルールを全くわかっていない状態で見始めても、物語の熱さが魅力として入ってくる。
そして作品を読み進めていくと、知らないうちに「ローテーションがあるんだ」とか「6人でやるんだ」とか、バレーボールのルールが分かっていく。さらに物語が進むにつれ「今誰が試合に出ていて、ローテーションがこうなっていて」と、よりバレーボール自体に興味がいく導線になっているのがすごいなと思いました。
もちろん魅力的なキャラクターがたくさん登場すること、話の厚みや面白さなどもありますけど、読んでいるだけで、自然とバレーボールに詳しくなり好きになることが、何よりめちゃくちゃすごくて、魅力的だと思います。
――『ハイキュー!!』という作品に関わる中で、何か印象的なエピソードがあれば教えてください。
村瀬:個人的にたくさんあるんですけど、アフレコ収録の時に登場人物の言葉に助けられたり、救われたりすることがありました。それは僕だけではなくて、ほかのキャストも感じていました。
白鳥沢戦のアフレコの途中で、画の補強をするために収録が一ヵ月ぐらいお休みの期間に入ったんですが、その時に烏養繋心コーチ役を演じていた田中一成さんが亡くられてしまいました。
白鳥沢戦の中盤で、烏野のみんなが絶望して、もうダメかもという空気になった時に、烏養コーチが「下を向くんじゃねえええええ!!! バレーは!!!常に上を向くスポーツだ」と言うんですけど、一成さんの最後に収録したセリフがそれだったんです。
── 一成さんは最初のアフレコ収録の頃、僕が全くできない時からいろいろ励ましくれたり、みんなで飲みに行った時も「お前は頑張ってるよ」と言ってくれたり、本当に烏養コーチのように場の空気を明るくしてくれる方でした。それは僕たちキャストだけではなくて、監督やスタッフさんたちの精神的主柱にもなっていた方だったから、一成さんがいなくなった後の『ハイキュー!!』が想像できませんでした。
どうしようと思っていた時に『ハイキュー!!』の収録スタジオの方たちが、今までの劇中で一成さんが言ったセリフをまとめて、アフレコ収録再開の時に流してくれたんです。最後に一成さんが言ったあのセリフに、みんな勇気をもらって「続けよう」という空気になりました。
そこから(烏養コーチ役を引き継いだ)江川央生さんも収録に参加されたんですけど、江川さんは一成さんと同じ事務所の盟友で、すごく仲良くされていたとのことでした。その意志を受け継いで、みんなでボールを繋いでいこうという気持ちになったんです。
そういった意味でも、烏野のメンバーも烏養コーチのあのセリフに救われて、気持ちを上げてもらって、僕らも一成さんの魂のこもったセリフに救われて「下を向かずに、上を向いて頑張っていこう」と気持ちを上げてもらいました。ですから、自分の中で1、2を争うぐらい印象に残っていることですね。
――最後に、映画の公開を楽しみにしているファンのみなさんへメッセージをお願いします。
村瀬:アニメ『ハイキュー!!』の放送がスタートしたのは2014年で、今年で10年目にな ります。まさかこれだけ長い期間をかけて作品を大事に作り続け、それと同時に、この作品を好きでいてくださるファンのみなさんが、楽しみに待ち続けてくださっていることがとても嬉しいです。キャスト一同、スタッフ一同、その思いに報いる意味でも、この作品が成功してほしいなという気持ちでいっぱいです。
画も音もすごく、僕たちも魂を込めてお芝居をさせていただいたので、ぜひ劇場に足を運んでいただいて、良い環境の中で念願の音駒との公式戦『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』を観ていただけると嬉しいなと思います。宜しくお願い致します!
――ありがとうございました!
[インタビュー/宋 莉淑 撮影/胃の上心臓]
インタビューバックナンバー
作品情報
2024年2月16日(金)全国公開/IMAX(R)同時公開
STORY
小学生の時に、春高バレーのテレビ中継で見た“小さな巨人”に憧れ、烏野高校バレー部に入部した日向翔陽。だがそこには中学最初で最後の公式戦で惨敗した相手・影山飛雄の姿が!? 反目しあうも、日向の抜群の運動能力と影山の正確なトスは、奇跡のようなクイック攻撃、通称“変人速攻”を生み、烏野復活の力となる。
東京の音駒高校との合同合宿で、日向は因縁のライバルとなる孤爪研磨と出会う。超攻撃的なプレースタイルの烏野高校に対し、“繋ぐ”をモットーにした超守備的なプレースタイルの音駒高校。音駒高校との試合を経て新たな可能性を見つけ出していく烏野高校のメンバーたち―――
春の高校バレー宮城県代表決定戦、春高初戦と、強敵を次々と倒す中で進化を遂げた烏野高校は、春高2回戦で優勝候補・稲荷崎高校を下す。そして、遂に3回戦で、因縁のライバル校・音駒高校と対戦することとなる。
幾度となく練習試合を重ねても、公式の舞台で兵刃を交えることが一度もなかった両雄。烏野高校対音駒高校の通称“ゴミ捨て場の決戦”。約束の地で、「もう一回」が無い戦いがいよいよ始まる―――。
スタッフ
原作:「ハイキュー‼」古舘春一(集英社 ジャンプ コミックス刊)
監督・脚本:満仲勧
主題歌:SPYAIR「オレンジ」
アニメーション制作:Production I.G
キャスト
村瀬 歩
石川界人
日野 聡
入野自由
林 勇
細谷佳正
岡本信彦
内山昂輝
斉藤壮馬
増田俊樹
名塚佳織
諸星すみれ
神谷浩史
江川央生
梶 裕貴
中村悠一
立花慎之介
石井マーク
ほか
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