『Unnamed Memory』連載第8回:監督・三浦和也さんメールインタビュー|猫ティナーシャは原作の古宮九時先生からの熱い言葉があって実現!
2期は誰が主人公で、どんな話なのか? 楽しみに待って頂ければと思います
――ティナーシャは肉体年齢が物語の中で変わったり、猫になったりと絵の部分でもかなりこだわっている印象があります。肉体年齢の違うティナーシャや猫になったティナーシャはアニメで表現する上でどんな部分に気を遣っていましたか?
三浦:年齢! 頑張ってやりましたが、13歳(過去)と16歳(#1)の違いはともかく、16と19の違いはつけにくかったです! 設定は作って頂いたのに、すみません……
お気づきの方もいるとおもいますが、OPのあるカットで、ラナクの前のティナーシャは13歳で始まってるのですがカット後半は19歳になるカットになっています。
猫化は設定が増えるのでやるかどうかシナリオ時点で悩んだのですが、原作の古宮さんから「猫!見たい!」と熱いお言葉をいただいたのでやりました。
ティナーシャは魔女ということで、人間と違う部分を作りたかったのです。
特に#1、オスカーとの初対面は「塔にいる最強の魔女の登場」ということで実は目を赤く光らせるか悩んだのですが、普通の光にしてしまいました。代わりに目を赤くするのは#2の戦闘で使いましたね。初対面のシーンで、赤い目でふわーっとオスカーの前に降りてきても面白かったかなぁ、と思っていました。
――第2話のティナーシャと魔獣の戦闘シーンなど、アクションのみどころもいくつかありました。本作における戦闘シーンのこだわりや見せ方で工夫している部分もお聞かせください。
三浦:シリーズの中で魔法戦が何度か登場します。これも、原作を初めに読んだ印象で、魔女たちが定型の、いわゆる「RPG的な魔女、魔法使い」と扱いがちょっと違うな、と面白く感じたので、それを体現できる、自由に振る舞える戦いにしたかったです。
具体的には「詠唱や移動の枷、重力を無視した戦闘」を……と妄想していたのですが、2クールのボリュームもあったり、時間の制約もあって、あまり戦闘面はこだわれずでした、お恥ずかしい。担当してまとめて頂いたコンテマンさん、スミマセン、ありがとうございました。
――三浦監督が本作で気に入っているキャラクターとその理由も伺いたいです。
三浦:初めに読んだときはトラヴィスが「おお、魔王ですって?!」「描写を妄想するのも面白い」と思っていました。ただシリーズでは後半まで、あまり話の核にはならず、全体のバランスもあってオーレリアとの掘り下げもなかなか出来なかったので申し訳なかったですね。
トラヴィスは登場の仕方も突然で、その存在ゆえの価値観の違いとかがSFぽく、自分が好きな「指輪物語」のトム・ボンバディルや「スタートレック」のQを思い出してわくわくしていました。
(話がそれますが、意図せず「スタートレック」にご出演の声優さん、ドルーザの老魔法士役で青山穣さん、カガル役で星野充昭さんが来ていたのに興奮してしまいました。絡みが無かったのが惜しくて惜しくて……)
トラヴィスだったり「魔力や魔族が存在する」別の階層の概念があったり、イリティルディアのような超常的な存在がまだ現実に影響をしていたり、という描写があるのもこの作品の魅力の一つだと思っています。
あと、なぜかノーマンが好きです。こういう悪ではないというか、主人公にまだ感情移入していないまっとうな意見の人がいると良いなぁ、と。副長として必要な人といいましょうか。
ケヴィン王も好きです。謎の余裕。でもそもそもあなたが、あ……この先はまだ言えませんね……!
――第12話までで印象に残っているシーン、ファンのみなさんに見返してもらいたいシーンを教えてください。
三浦:原作を知らずに12話を視聴された方は展開に驚いているかも知れません。
本来なら「11話での紆余曲折の末に結ばれた二人」と言いたいのですが、放映日から近すぎるので……1話のAパート終わり「ティナーシャとオスカーが初めて出会うシーン」でどうでしょうか。
そしてOPも、よければ見返していただきたいです。あの世界はもう無いのです。
――最後にファンのみなさんへのメッセージと今後の見どころをお願いします。
三浦:魔女だったティナーシャたちのいた世界は消えてしまいました。そしてその世界から来たオスカーも消えてしまいました。
過去のティナーシャは最後にどうなったのでしょうか。
11話のラストはどこへやら、種﨑さんの号泣で終わった1期(この構成、実はシリーズ構成以前に、プロデューサーから提案されたものだったりします)ですが、まだ話は続いていきます。
原作既読の方は純粋に2期を楽しみにしていただき、原作未読の方はこの続きって? 2期は誰が主人公で、どんな話なのか? 楽しみに待って頂ければと思います。
『Unnamed Memory』作品情報
あらすじ
大国ファルサスの王太子・オスカーは、幼い頃に受けた「子孫を残せない呪い」を解呪するため、荒野の塔に棲む“青き月の魔女”ティナーシャのもとを訪れる。
どんな望みも叶えるという“魔女の塔”の試練を乗り越えたオスカーが望んだのはティナーシャを妻として迎えることで……。
魔女の契約者となった王太子と、王太子の守護者となった魔女。
二人の出会いは“魔女の時代”に変革をもたらし、やがて、世界の〈運命〉を書き換えることになる。
オスカーとティナーシャの行く手に待ち受ける物語とは――。
キャスト
(C)2022 古宮九時/KADOKAWA/Project Unnamed Memory