スーパー戦隊と仮面ライダーに出演する二人の対談が実現! 永徳さん×森博嗣さんインタビュー|印象的なポーズは、スーツを着たときの「ひらめき」から生まれる!?【スーツアクターという仕事:連載第1回】
印象的なポーズは、スーツを着たときの「ひらめき」から生まれる
──日々のトレーニングはどんなことをされるのでしょうか? 普段からボディメイクはどうされているんですか?
永徳: どうしても撮影が忙しい時期は、撮影現場の空き時間に、筋力が落ちないように動いていたり、ストレッチしたりします。休みのときは、僕は近くの公園で体操程度しかやっていなかったりします。
忙しい時期が多いと、その分食事に気を遣っています。1日3食のうち1食は、糖質を抑えてタンパク質多めな食事にしたりと工夫しています。あとは納豆だったりキムチを食べて一日過ごしたりしていますね。
撮影はただでさえプレッシャーがかかる仕事なので、自分にストレスを抱えないようにしていますね……(笑)。
森:疲れていないときに、ちょっと筋トレ、柔軟をするくらいです。ジムに通っていた時期もあるんですが、撮影が忙しくなってくると通うのも大変になってくるので、撮影現場や家で出来るようなことをしています。
永徳: 結局、ジムに通える時期もあるんですが、通えない時期もあるので。だったら現場で筋トレしたりする方が効率的かなって。汗をかいてもいい恰好で来ているわけじゃないですか。
森:僕は最近、縄跳びを買いましたよ。どこでもできるように。
永徳: 僕は年齢もあるから、動いていないと。その環境においていないとすぐ(パフォーマンスが)落ちるんですよ。この前、急な休みが4日間あって、2日間ずっとゲームをやっていて(笑)。
身体を動かさないと気持ち悪くなってきてしまって。3日目の深夜に散歩したり、急に公園を見つけて懸垂したりしていました。変な休みの過ごし方をしちゃう(笑)。急に休みを貰うと貰うで、上手く使えないのはありますね。
──今年はお二人とも、作品の主役キャラクターを演じられていますよね。主役を演じる上で気をつけていることはありますか?
永徳:主役だからとか、中心のキャラクターだからといって、特別これをやろうというのは無いですね。取り組み方は変わらないんです。
見ている人達や作り手とか、周りが“特別にしてくれる”んです。プロデューサーや監督、アクション監督のオファーがあって色付けするという役割だと思っています。特に自分で「こういうふうにしないとダメなんです」というのは無いです。
森:僕も無いと言えば無いですね。よく「戦隊はレッドが主役」と言われるのもわかるんですが、僕は戦隊は5人が主役だと思っています。変身前のキャストは1年しかないので「座長」って感じは周りから見ていて思うんですが、僕らは何年も同じ顔ぶれのスタッフでやっているので、特別変わることはないんです。
──スケジュールの違いはありますか?
森:他の役よりシーンが多いというのはありますね。
永徳:確かにライダーはそれを感じます。確実にみんなよりは出ているかな(笑)。おもちゃやタイアップ商品のCMの撮影もあったりします。番組開始時の準備は忙しいですね。「どんだけ素材撮るの?」というぐらい写真を撮られましたからね。
──スーパー戦隊と仮面ライダーで、現場の違いはありますか?
永徳:僕が思うのは、演出家の方、監督だったり、アクション監督、スタッフさんといった人によって変わるのかなって。ライダーだから、戦隊だからっていうのは無いかなと思います。
──名乗りだったり、キックだったり、印象的なポーズがあると思いますが、そういったものはどうやって考えられているんですか?
森:ひらめきです!(笑)
一同:(笑)
森:僕、着ないとわからないんですよね。家で考えようとしても「いいや、現場で着てから考えよう」って。撮影現場で着るとなんか降りてくるんですよ(笑)。着ないとわからない。
──そういうものなんですか?
永徳:そうですよ。例えばこの状態でキャラクターのポージングをしても、ただのおっさんがポージングしているだけじゃないですか。
一同:(笑)
永徳:着ないでポージングしてもわからないんですよね。ある程度考えておいて、現場でポーズを決めていく感じですね。
僕の場合は、アクション監督の福沢さん(福沢博文さん)が考えてくれて、福沢さんが「こういうリズムで構えて欲しい」とかがあって。自分の方からも「こういうポージングをやってみたいと思っているんですけど、どうですか?」とディスカッションをして決めさせていただきました。
──アクションのバリエーションはどう増やされているんでしょうか? アニメや映画から影響されることはありますか?
永徳:いろんなところからインプットしていますね。最近はSNSやサブスクだったり、自分の中でなんとなく探して、アンテナを張って、「これ見てみよう」となりますね。気になったものはすぐ引き出しに入れて出してという作業が多いです。今やっている役では、宝塚のある題材から最初のきっかけをもらったりしています。
森:階段の降り方とかですか?
永徳:違う違う(笑)。ぜんぜん優雅じゃないよ(笑)。
森:それしか思いつかなかった(笑)。
──森さんはいかがですか?
森:ほぼ同じです。TikTokをぱーっと見ていて「わ、何これ!」ですぐいいねを押して、後で見られるようにしています。
──参考にしようと思って見ているんですか? それとも自分の好みで?
永徳:アニメもドラマもそうだし、「あれがすっごい面白かったんだよ」って言われて「へー機会があったら見るね」ぐらいじゃないですか、人に勧められても。それが何年後か何日後か「あの人、ああ言ってたな」ってパッと見たときが、自分がそれを欲してるときなんだろうなと。
意識って人それぞれだと思うんですが、仕事それぞれで意識のアンテナって違うと思うんです。頭の片隅に置いておいて、それが引っかかるときに見るんだろうなと思います。僕の場合は、みんなが見ているものは見ないんですよね。
森:同じです。わかります、それ。
永徳:年齢的にガンダムはすごい見ていて、「国語算数理科社会ガンダム」っていうくらいなので、ガンダムの情報だけは欲しいですね(笑)。感覚をみんなと一緒にしてもしょうがないなと思っているので、自分が意識したときにその作品を見ています。