スーツアクターを続けてきたからこそ気付けた「お芝居の楽しさ」――五味涼子さん×坂梨由芽さんインタビュー|“女性キャラクターらしさ”は特に意識せずとも、自然に可愛さやカッコよさは生まれる【スーツアクターという仕事:連載 第2回】
様々な特撮作品、ヒーローショーで活躍するスーツアクターさん。
アニメイトタイムズでは、「スーツアクターという仕事」と題して、業界の第一線で活躍している方へのインタビュー連載を実施中です!
第2回は、『魔進戦隊キラメイジャー』キラメイグリーンなどで知られる五味涼子さん、『爆上戦隊ブンブンジャー』ブンピンクなどで知られる坂梨由芽さんが登場。
ともにタレント事務所「ジャパンアクションエンタープライズ(JAE)」所属(五味さんは元所属)ということで、親交も深いお二人。普段のトレーニング方法や、キャラクターを演じる上で大切にしていることなどを伺ったほか、前回同様、事前にユーザーから募集した質問にもお答えいただきました。
プロフィール
■五味涼子 ごみりょうこ(写真右)
5月26日生まれ。身長160cm。
2014年「烈車戦隊トッキュウジャー」トッキュウ3号や「快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー」パトレン3号などさまざまなヒーローを演じファンが多い。
現在は舞台やモーションキャプチャーなどにも精力的に活躍の幅を広げている。
9月14~16日には名古屋にて第3弾となる自ら主宰のイベントも開催予定。
https://x.com/53mugi
■坂梨由芽 さかなしゆめ(写真左)
8月3日生まれ。身長157cm。
2023年「王様戦隊キングオージャー」のカマキリオージャーにてレギュラーヒーローデビュー、「爆上戦隊ブンブンジャー」で元気いっぱいのブンピンクを演じて人気を集めている。
映画「仮面ライダー THE SUMMER MOVIE 2024/仮面ライダーガッチャード&爆上戦隊ブンブンジャー」も絶賛公開中。
https://x.com/yumeboshiumai
お二人とも「筋肉がゴリゴリになりやすい」!? トレーニングでは体幹や瞬発力を意識
──初めにお二人の出会いや関係性についてお伺い出来ればと思います。
五味涼子さん(以下、五味):馴れ初めだ(笑)。撮影現場の補助で、関わるようになりましたね。
坂梨由芽さん(以下、坂梨):飲む機会で仲良くなりましたね!(笑)
五味:よく飲むんですよ。本当に。
坂梨:いやいや、負けます。敵いません(笑)。
──この世界に入ったきっかけを教えてください。幼少期に好きだった特撮ヒーローも教えていただければと思います。
坂梨:幼少期というか小学生の頃、印象に残ったのは『555』(『仮面ライダー555』)です。『555』が3、4年生ぐらいのときだったと思うんですが、大好きだった記憶があります。
あと『ハリケンジャー』あたりがすごく印象に残っています。そこから(特撮から)自然と離れて、高校生ぐらいのときに『仮面ライダーオーズ/OOO』とか『ゴーカイジャー』、『ゴーバスターズ』辺りで戻ってきて。『ゴーバスターズ』のイエローバスターに憧れてこの世界に入りました。
──(特撮を)また見るようになったきっかけは何かあったんでしょうか?
坂梨:俳優の神尾 佑さんが好きで、「『オーズ』の真木博士で出てるんだ」と思って見始めたのがきっかけですね。そこから、ニチアサにハマっていきまして。高校2年生の頃、『ゴーバスターズ』の年に、ヒーローショーを行うショーチームに入りました。
──ヒーロー、スーツアクターになりたいと思って始められたんですね!
坂梨:はい。広島にいた頃にショーチームに入って、上京しようと思っていたので東京に行ったときに役に立てばいいなと思って始めました。
──続いて五味さん、お願いします。
五味:私は小さい頃、特撮を見たことがなくて。JAC(※)に入ったときも特撮をJACでやっているとは知らず……。
養成所のときに「岡元次郎、神尾直子、竹内康博が来るぞ!」と言われたときに「誰?」と思ってネットで調べて、初めてこういう方がいるんだと知りました。そのときの落っこちの練習場所がスカイシアターというところだったんですが、そこでヒーローショーをやっていることも初めて知ったくらいなんです。
養成所に入ってから、特撮ヒーロー番組を意識するようになりました。なので、一般の方が「スタントやってます」「ヒーローものやってます」って言ったら「モモレンジャー?」っていうレベルぐらいの知識から入ったんです。
※:ジャパンアクションクラブ。JAEの前身。
──アクション俳優やスタントマンに興味があったということでしょうか?
五味:スタントマンですね。でも特にアクション映画が好きというわけでもなかったので、本当にスタントへの憧れだけですね。
会社勤めをしていた頃、時間があるときにネットサーフィンをしていて、たまたま「スタントマン」って調べたんです。するとちょうど養成所のオーディションの募集をしている時期で、「ちょっと芸能界みたいなところを覗いてみたい」と思って、興味本位で応募してみたんです。
──元々身体を動かすのが得意だったんですか?
五味:大学の頃は部活で少林寺をやっていましたが、それ以外はほぼやったことがなかったんです。大学に入ったときに武道をやりたいなと思って。空手部と剣道部はエリートしか入れなくて、少林寺と合気道は素人でも入れる部活で、たまたま先に勧誘されたのが少林寺だったんです。
坂梨:へぇ~初耳です! 普段そんなに詳しくは聞かないので。
五味:話さないもんね、過去の話は(笑)。
──日常のトレーニングはどんなことをされるのでしょうか?
坂梨:最近はマシンピラティスに通っています。柔軟や体感を主に鍛えていますね。私は筋肉がゴリゴリになりやすい体質で、やればやるほど筋肉が付いちゃうんです。
──あんまり筋肉がゴリゴリし過ぎてもダメなんですか?
坂梨:私はそれは理想的じゃないかなと思っています。スーツアクター、ヒーローもそうなんですが、女優さんの吹替をしなければいけないときもあるので、ムキムキすぎて、筋肉モリモリでもおかしいので、太くなりすぎないようにしていますね。
五味:私もゴリゴリすぎて(笑)。
坂梨:人によっては、バシバシやった方がキュッと締まる人もいるとは思うんですけど。私は、わざと重めのトレーニングはしないようにしています。その代わり、ただ立っているときとかちょっとしたときの姿勢で、体の芯を取るように意識していて。なるべく軸を取れるように、体幹が弱くならないようにしています。
──普段から意識されているんですね。
坂梨:日常で姿勢が悪いと思ったら正すようにしていますね。事務所の練習会が週に1回あるので、仕事が無いときは練習に行っています。
──五味さんはいかがですか。
五味:昔は色々やっていたんですよ。ホットヨガを10年ぐらい通ったりとか。私は効果がなくて、全然身体が柔らかくならなくて。お酒を抜くため、みたいになっていますね(笑)。
私もゴリゴリしちゃうので、ヒーローのスーツってつるっとしているので、とくに肩のラインが出ないように気をつけていますね。上半身のトレーニングはあまりしないようにしていて、下半身の瞬発力トレーニングを重視しています。
長く走るのは全然しないんですが、撮影って一瞬で「ヨーイ、カチン!」で動くので。その瞬発力を鍛えるために、0から100まで一気にもっていく運動を自分で考えて行っています。
──0から100まで一気に動く運動とは?
五味:止まっている0の状態から、「1歩目から100」を意識して、10歩でいいのでダッシュするトレーニングをしたり、足を前後左右にいろんな方向に動かすことはしていますね。撮影では敵にやられた芝居などで予測できない負荷がかかって怪我する人が多いので。それは嫌だなと思って、自分で考えてトレーニングしています。それは太らないので!(笑)
坂梨:取り入れようと思います!