スーツアクターを続けてきたからこそ気付けた「お芝居の楽しさ」――五味涼子さん×坂梨由芽さんインタビュー|“女性キャラクターらしさ”は特に意識せずとも、自然に可愛さやカッコよさは生まれる【スーツアクターという仕事:連載 第2回】
スタントだけではなく、スーツアクターを続けてきたからこそ気付けたこと
──お互いから見て、アクションのすごいところや尊敬するところを教えてください。
坂梨:男勝り、男に負けない。
五味:それ、由芽でしょ(笑)。
坂梨:最前線に出ていく姿、ヒーローとしてやられているときに、トランポリンやリアクションもメンズに負けていないところですね! 『ジュウオウジャー』ぐらいからしか知らないのですが、技術やトレーニングからくる強さが凄い!。
五味:いいよ! もっと言って。
──(笑)。五味さんから見た坂梨さんはどうですか?
五味:もう気持ちが強いんですよ! 技術は1、2年目から見ているんですが、その辺の男の子より「やります! やりたい! 進みたい!」というのが、すごく表に出ていて。
撮影現場はしんどいことも多いので、そこを楽しもうとするかどうかですね。「ここまで気持ちで来てくれる後輩って他にいたかな?」と思うくらいです。
──積極性がある人の方が成長しますよね。
五味:今の時代は特に、積極性があって前向きじゃないと(こちらから)何か言えないんです。(相手が)受け止めてくれないんですよね。怒っているわけではなく、今はアドバイスすら出来ないこともあるので。普通になんでも言えるのが由芽で、それは今も変わらないですね。
──素晴らしいですね。
五味:いい話だけしとこう。
坂梨:(笑)
──スーツアクターをやっていて良かったことを教えてください。
坂梨:やりたかったものになれたというのが、一番夢が叶った瞬間ではありますね。なってみて、事務所の人たちに出会えたことも結構幸せかも。
一同:(拍手)
坂梨:しんどかったり、辛かったり、くさったり、みたいなこともいっぱいある中で、いろんな人がいろんな形で言葉を伝えてくださって。目の前でアクションやスタントの面白みを見せてくださって。ヒーローになりたくてここにいますが、それだけじゃなく、お芝居・アクション・スタントっていう意味で、奥のとこまで好きになれた気がします。おかげさまで!
五味:いいことだね。いい話を聞いている。
坂梨:いいことだけ言っておきましょう(笑)。
五味:私はスタントマンがやりたくて入って。でもヒーローショーを見て「かっこいい。こんな拘束具をつけて、みんなかっこいい」と思って。いろいろやって、今振り返って思うのが、スーツアクターはスタントマンと違って、普通にお芝居があるんですよ。役として(アクションを)やるので。自分で芝居して自分で役を考えて。役者なんですよね。
さらにアクションの立ち回りや、演じるキャラの技を考えたりって普通のスタントマンじゃできないこと。なので今すごく役者もやりたいんですが、やっぱり振り返ったときには「お芝居楽しかったなあ」って。立ち回りがお芝居だから楽しいんだっていうのが、スタントだけやっていたら、ここまで気づけなかったかもしれないなと思います。
「芝居なんか」っていう人もいるけど、先輩たちも当たり前に芝居をしているんですよね。感情や台詞など「うまっ!」て思うようなお芝居をするので。そこですかね、私がスーツアクターになってよかったと思うのは。
──「スーツアクター」というとアクションやスタントのイメージが先行しがちですが、その立ち回りや表現が出来る役者ですもんね! ユーザーから同じ質問が多く来たのですが、撮影では台詞を言ってお芝居されているんですか?
五味:よく聞かれます(笑)。
坂梨:言っています(笑)。
──そこのところも少しお伺いできれば。
坂梨:全部言っています!
五味:言うし、泣くし、怒るし。
坂梨:ですね、面はつけていますけど。面を取ったら顔も芝居をしています。撮影に入って1年目で、「アクションの立ち回りをしながら、どう台詞を言おう」となりました。芝居の間と立ち回りのリズムを合わせるのが難しかったですね。
五味:難しいよね。
──今でも難しいと感じますか?
五味:難しいですね。
──スーツアクターについてあまり知らない人は、スーツアクターさん達が俳優として芝居をしているというイメージがなかったりするのかなと。今回の記事をきっかけに知ってくれたら嬉しいですね!
五味:伝えていただけるのは嬉しいです!
坂梨:みんな必死に芝居もしています。