音楽
山下大輝 約1年ぶりの新曲「プラシー」インタビュー

山下大輝さんの約1年ぶりの新曲「プラシー」は温かな気持ちを掘り起こす一曲――ぬいぐるみの立場になって考えてみたら、寂しいんじゃないかなと思ったんです。【インタビュー】

2021年にアーティストデビューを果たした山下大輝さん。1stアルバム「from here」リリース後のデジタルシングル「ヒトコキュウノ」「シークエル」というファンタジックな楽曲に続いて、新たにリリースされた新曲「プラシー」はぬいぐるみ目線で展開される、懐かしいあの頃の記憶と未来への光。ファンタジーな世界観と共に少し寂しく温かい物語が紡がれていきます。楽曲制作のきっかけとなった“キツネのぬいぐるみ”との思い出や、この一曲に込めた想いをたっぷりと伺いました。

さらに、2024年9月7日(土)に開催されるバースデーイベント「Daiki Yamashita 2024 DAIKING Festa Vol.3」は、今までとはひと味違う内容に? そんなバースデーイベントから今後の展望も語っていただきました。表現者・山下大輝さんの世界をぜひお楽しみください。

「プラシー」の楽曲制作のきっかけは“キツネのぬいぐるみ”

――とてもお忙しかったと思いますが、約1年ぶりの新曲がリリースとなりました。アーティストとしてはこの準備期間どういう風に考えて過ごされましたか?

山下大輝さん(以下、山下):忙しい……だけどリリース期間を1年以上開けるのは避けたくて、早く曲を出したかったんです。かといって、時間に追われて適当に曲を出すのも嫌だと思っていました。「プラシー」はデジタルシングルでファンタジー路線というテーマを決めてから一気に制作が始まりました。

制作は急ピッチで進んだのですが、 ササノさんがオファーを快く受けてくださって、お忙しい中スケジュールも調節してくださって、本当に申し訳なく思う反面、本当に嬉しかったですし、感謝しかないです。こんなに素敵な曲をありがとうございます。

――そんな「プラシー」も、デジタルシングル「ヒトコキュウノ」「シークエル」に続き、オルゴールのようなイントロで、入りからファンタジーの要素を強く感じます。どのようにして制作を進めていったのでしょうか?

山下:「プラシー」もデジタルシングルのため一貫性を持たせました。僕が最初に出したEP、そして1stアルバムは、どちらかというと等身大であったり、この現代社会に向けたエールを綴った曲なので、リアルな感じというか「現実世界感」が強く出ていました。

そんな現実世界が見える中で、デジタルシングルは割とファンタジー路線といいますか。「どういうお話なんだろう?」と物語を感じさせるようなテイストにしていこうと思い、デジタルシングル「キャンドル」から(ファンタジー路線は)始まりました。

「アクション」は現実の世界観からファンタジー路線になる境目のような楽曲なんですけど、そこから「ヒトコキュウノ」「シークエル」、そして今回の「プラシー」では、より物語というものをみなさんに感じてほしいし、一つのショートストーリーだと思ってもらいたいです。

だからこそ、今のところデジタルシングルは徹底してファンタジーテイストのものを色濃く作っていく。なぜかというと、僕が好きだから!(笑) 「プラシー」においてもファンタジーの部分を強く出したいなと思い、(楽曲制作が始まる前は)いろいろと案を出していたんですよ。

――そうだったんですね。ちなみに、ほかにはどのような案が上がったのかお伺いしてもよろしいでしょうか?

山下:他の案では、「夏っぽいものもやりたい!」という考えから、ちょっとしたお祭り曲のような和風テイストのものが上がっていました。その時には和風の物語が僕の中にあって(笑)。こういう案はどうですか?みたいなやりとりをした記憶があります。

そんないろいろな案がある中で「プラシー」が一番みんなの目線になりやすいというか、感情移入しやすい物語になっていると思いました。おそらく大多数が経験しているであろう事柄だからこそ、この曲がいいのではないかなと思ってレーベルの方と話し合って決めました。みんなの思い出を掘り起こす曲です。楽曲のテイストとしては、(前のデジタルシングルに続き)温かいテイストの楽曲になっています。

――多くの方が、幼い頃にお気に入りだったぬいぐるみやおもちゃを思い浮かべる楽曲なんじゃないかなと感じました。やはり、山下さんも楽曲の物語のようにお気に入りのぬいぐるみをお持ちだったのでしょうか?

山下:そうですね。だからこそ、この曲が思い浮かびました。毎年、実家に帰るんですけど今年の年始に実家に帰った時に、昔ずっと育ってきた部屋で寝たんですよ。かつての僕の部屋に布団を敷いて寝て、ふと周りを見てると、やっぱりその周りだけ時間が止まったような感覚があって。

それとともに、あの時からずっとこの人形やおもちゃはここに在り続けているんだなって。誰かが触らないとここからは動けないし、埃をかぶっていくだけ。そう思った時に、そのぬいぐるみやおもちゃの立場になって考えてみたら、すごく寂しいんじゃないかなと思ったんです。

だけど同時に、僕がこうやって部屋に帰ってきたことによって、もしかしたら喜んでくれているのかもしれない。成長した僕を見て「良かった」って思ってくれているのかもしれないと考えたんですよ。あ、これって曲になる!と思って(笑)。

――(笑)。曲を聴いた時にぬいぐるみ目線の気持ちが本当に流れるように入ってきました。

山下:「プラシー」ではみんなが親しみやすいようにクマのぬいぐるみにしていますが、僕が一番気に入っていたのはキツネのぬいぐるみだったんです。その動物園で買ってもらったぬいぐるみを小さい頃の僕はかなり気に入ったらしく、どこにでも連れて行って、寝る時も一緒でした。

それくらい自分にとって友達であり、家族みたいな存在だった「キツネのぬいぐるみ」を主人公にして曲を作ったらどうだろう、と考えたことが楽曲制作のきっかけかもしれないですね。今もキツネのぬいぐるみは変わらず僕の部屋に置いてあるから、帰るたびに「頑張ってるよ」と報告しています(笑)。

「君と一緒に過ごした楽しい思い出が今も僕を勇気づけてくれているんだ」というメッセージ性もあるから、この曲はすごく寂しく切ないけど、前向きな気持ちも含まれています。そういう想いを曲に込めて、聴いてくれるみんなにも当時の楽しかった思い出や幸せだった気持ち、自分がどんな風に笑っていたのかを思い出してもらえたらいいなと思って、この「プラシー」は生まれました。

――お話をお聞きしたところ、作詞・作曲のササノマリイさんとがっつりと手を組んで、曲の方向性を決めていったという印象を受けました。

山下:もうがっつりと! (ササノさんに)「こういうのやりたいです」と全てをお伝えしました。(ササノさんから)上がってきた曲を聴いた時は最高でしたね。僕がゴリゴリに細かく曲の方向性を話していたこともあると思いますが、それがササノさんに全部伝わったなと。歌詞もそうですし、メロディラインもとても素敵な曲になっています。

ササノさんに楽曲制作をお願いしたきっかけも、やっぱりこういうテイストの曲作りが素敵だなと思ったからです。人の感情的な部分を重視する曲を作られている方ですし、ファンタジーテイストの曲もよく作られている印象で、歌詞にも曲にもとても人肌の温度を感じるんです。

今回の楽曲のテーマにぴったりだと思いオファーさせていただいたところ、快くOKしてくださって嬉しかったです。そしてタイトなスケジュールの中、こんな素敵な曲を作ってくださるなんて本当にありがたいですし、幸せだなと思いました。

――いろいろな部分での感動が込み上げてきたんですね。特に歌詞でいうと、<声が届くわけもないけど 今も君のこと 想ってるよ>という部分が台詞と言いますか、語りかけているようにも感じたのですが、曲を歌う上で工夫した点や気をつけようと思った部分はありましたか?

山下:とにかく、ぬいぐるみ視点の曲だからこそ、人間が生きていく長い時間の中で知ってしまう技術みたいなものを抜きたいなと思っていました。

歌は技術だと思っていて、「あの人っぽい歌い方」だとか、いろんな歌い方の癖がどんどん生まれていくものだと思います。しゃくりやビブラートとか、そういったいろんな技術で歌声というものは作り上げられていくと思うんですけど、ぬいぐるみにとっての世界は持ち主の子との思い出の中の世界、そして自分が居るその部屋が全世界で、そういう中で知っていく技術はそんなに多くないんじゃないかなと。

ぬいぐるみの気持ちで歌うとしたら、純粋な気持ちが最初に出てくるような気がしたので、素直にその言葉を大事に大事に伝えていきたいと思いました。繋がっているフレーズだとしても、わざと切って「届けたい、届けたい、届けたい」っていう素直な想いや伝えたい気持ちを出したいと思いながら歌うようにしていて。だから、さっき言ってくださったように語りかけているような、台詞のように聴こえているのかな?と思いました。

――そういうふうに考えて、工夫されて歌われていたのですね……! 歌詞で紡がれていく物語も、曲だけを聴いたら考察し甲斐があって。作中にも出ている「僕(ぬいぐるみ)」の結末についても伺いたく思います。

山下:歌詞や曲を見たり聴いたりしているだけだと、このぬいぐるみは結局この後どうなってしまうのだろう?と感じると思います。だけど、そこを補完するために今回もMVを作りました! ぬいぐるみの行く先の答えというか、今回は結末を完全に提示します。

今までは、みんなの考えを聞きたいから、あえてMVでさらに考察してもらうようにしていました。それは、「このMVを観た時にみんなどう思った? みんなそれぞれの考えを教えて!」という、同じじゃなくてもいいからみんなの考えを教えてほしいという目的があったので。

だけど、今回に至っては物語を分かりやすくして、完全に「みんな同じ方向を見よう」「同じ感動をしよう」という意識でMVを作りましたね。動画編集はこれまでもお世話になっているえむめろさんにお願いしています。

――今回は答えを提示したMV作りだったんですね。今までの流れとはまた違った新鮮さを感じます。

山下:ぬいぐるみの気持ちになった時に、(みんなと)同じ気持ちになりたいなと思ったんです。「君」と嬉しさや悲しさを共有することを大事にしたいなと思っていて。だからMVを観ているみんなもこの物語を知った時に、同じ気持ちになって、同じ幸せな気持ちになってほしいということをテーマに制作しました。

物語について大まかにお話すると、小さかった男の子が大人になって父親になるのですが、その子供が男の子(父親)が幼かった頃に遊んでいたぬいぐるみを見つけて、その子の思い出になっていくという物語です。MV映像の中にはギミックもあって、実はジャケットイラストにもキーになっている部分が隠されているので、ぜひ見てください!

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