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- わたなべみきこ
- 出産を機にライターになる。『シャーマンキング』『鋼の錬金術師』『アイドリッシュセブン』と好きなジャンルは様々。
『暗殺教室』や『魔人探偵脳嚙ネウロ』で知られる漫画家・松井優征先生の作品『逃げ上手の若君』。「週刊少年ジャンプ」にて2021年から連載中で、2024年7月よりアニメの放送が始まった今期注目作のひとつです。
本作は、滅亡した鎌倉幕府で1人生き残った幕府の跡継ぎ・北条時行が、“逃げ隠れ”の才能を活かし、鎌倉奪還のため厳しい試練と戦いに身を投じていく物語。
本稿では、信濃国守護で弓の名手・小笠原貞宗(おがさわらさだむね)の情報を一挙にお届け! その強さに加え、性格や人柄、時行との関係などを交えて解説していきます。
※本記事はネタバレが含まれます。
鎌倉幕府滅亡後、帝の命令で信濃守護となった武将。人並外れた目の良さと弓の腕前を持つ天下有数の武人で、戦においての勘も鋭い。諏訪大社とは領地をめぐって敵対関係にある。
天下に聞こえた弓の名手である貞宗。それは帝である後醍醐天皇からも絶賛されるものであり、「王」の文字が家紋に入っているのも帝のお墨付きの証。その弓術は「小笠原流」として現代にも伝わっています。
その卓越した弓術を支えているのが、ずば抜けた目の良さです。100m先まで見える視力に加え、観察力にも優れており、少しの心の動揺や一瞬の隙も見逃すことはありません。
唯一の弱点は、連射が苦手であること。精度の高さを保つため貞宗は一射ごとに全神経を集中させており、矢継ぎ早に打つことを嫌います。
また、戦の経験も豊富で、戦では勘の鋭さも発揮。攻めや退きの判断や戦況の読みも的確かつ迅速であり、時行や諏訪頼重らはその手腕にたびたび手を焼くことになります。
敵対する頼重や時行に対しては意地の悪さを前面に出す貞宗。信濃守護となって初めて諏訪大社を訪れた際には、無防備な巫女の耳を弓で射るという非人道的な行いで諏訪大社に喧嘩を売りました。
一方で、身内に対しては懐の深さを見せる場面も。過ちを犯し失敗した郎党・瘴奸に対して処罰を与えるのではなく、小さいながら領地で再起するチャンスを与えたのです。
また、貞宗は礼儀作法においてもその名が知られ、現代に残る正座の文化も彼がまとめた「小笠原流礼法」に基づくもの。敵である時行に対しても、命を奪い合う敵だからこそ敬意を示すよう指摘するシーンも登場しており、とても礼儀をわきまえた人物だと言えます。
貞宗と時行はアニメ第4~5話(原作第8~10話)の犬追物での勝負をきっかけに、因縁の相手となります。領地内の北条の残党を探す貞宗は、歳に似合わない品性を身に着けている時行の存在を怪しく思いながらもなかなか確証を得られません。
犬追物以降、方々で思惑を阻止されているため時行を疎ましく思いながらも、素直さや礼儀正しさを評価し、子供だからと見下したり侮ったりすることなく、対等に接しています。
それゆえに時行にとっては非常に手強い相手。常に全力で向かってくる貞宗に苦戦するものの、幼い時行にとってはその全てが経験となり、成長の糧に。
中でも弓術は貞宗を手本としており、犬追物や戦場においてその技を見て学んでいます。時行にとって貞宗は敵ながら弓の師でもあるのです。
頼重とともに挙兵した時行は、満を持して全国の敵味方に向けて名乗りを上げます。その様子を影から覗き見ていた貞宗は、「北条時行」の名を聞いた途端、顔色を変えて時行の元に馬を走らせ、その命を狙います。
予想していなかった単騎での奇襲に、馬で逃げ出す時行。その顔には興奮の色が滲みます。信濃での2年間、何度も戦い敵将ながら自分を成長させてくれた貞宗と、出陣前に最後の鬼ごっこと挨拶をしようとしているのです。
初めて戦った犬追物のときのように、追いながら弓を放つ貞宗と逃げながらかわす時行。しかし、夢中で時行に狙いを定めていた貞宗は眼前の枝に気づかず、思い切り頭を打ち付けて落馬。
時行は倒れる貞宗に「行ってきます 天下に挑みに!」と最後の挨拶をし、信濃から出陣していきます。悔しさから激昂する貞宗。しかし、その心中では二年間での時行の成長と逃げながら天下を狙う身軽さを少し羨ましく思い、いつか自分が射ち落とすことを誓いながら因縁の相手の出陣を見送るのでした。
頼重とともに起こした戦から2年。逃若党を率いて独立した時行は、南朝の傘下に入り、武将・北畠顕家とともに北朝の足利軍との戦に参加します。
5つの軍に分かれて攻撃を仕掛けてくる足利軍に対し、顕家軍も手分けして各敵軍を迎撃することに。西からの敵を迎え撃つことになった時行の前に現れたのは、因縁の相手・小笠原貞宗でした。
時行を討ち取るチャンスに喜ぶ貞宗は、2年間で大将として成長した時行の姿を認めつつも、当然攻撃の手は緩めません。一方の時行は、相変わらずの逃げ上手を発揮し、貞宗の矢をかわしながら、その弓術を見て学びます。
すっかり乱世に適応した姿を見た貞宗はついに奥義を繰り出します。時行に向かって真っすぐ馬を走らせながら至近距離で身体の中心である鳩尾を狙い矢を放ったのです。
時行は馬を盾にして急所を隠しますが、馬の速度を乗せた貞宗の弓は馬を貫き時行へ到達してしまいます。射貫かれてしまったかに見えましたが、郎党・亜也子が矢を食い止め、時行はかろうじて死を回避。そうして真正面から最強の技を受けたことで時行は貞宗の奥義を学んだのです。
貞宗が時行に集中している隙に、時行軍が貞宗軍の後衛を少数精鋭に奇襲させたため、貞宗は退却を余儀なくされます。ところが敗れた貞宗の顔はどこか満足げ。因縁の少年の成長に密かに喜びを感じているのでした。
小笠原貞宗を演じるのは青山穣さん。1月30日生まれ、愛知県出身。『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』のナレーションをはじめ、『NARUTO -ナルト- 疾風伝』のサソリ役など、数々の人気キャラクターを演じています。
時行の手強い敵将である小笠原貞宗。物語序盤では強敵ながらユニークな印象の強い人物ですが、ストーリーが進むにつれて時行との関係性や人物像に奥行きが出て、とても魅力的なキャラクターとなっていきます。その活躍にもぜひ注目してください!
作品名 | 逃げ上手の若君 |
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スケジュール | 2024年7月6日(土)〜2024年9月28日(土) TOKYO MX・ BS11ほか |
あらすじ | 時は西暦1333年、武士による日本統治の礎を築いた鎌倉幕府は、信頼していた幕臣・足利高氏の謀反によって滅亡する。 全てを失い、絶望の淵へと叩き落とされた幕府の正統後継者・北条時行は、神を名乗る神官・諏訪頼重の手引きで燃え落ちる鎌倉を脱出するのだった…。 逃げ落ちてたどり着いた諏訪の地で、信頼できる仲間と出会い、鎌倉奪還の力を蓄えていく時行。時代が移ろう大きなうねりを、「戦って」「死ぬ」武士の生き様とは反対に「逃げて」「生きる」ことで乗り越えていく。 英雄ひしめく乱世で繰り広げられる、時行の天下を取り戻す鬼ごっこの行方は―――。 |
話数 | 全12話 |
キャスト | 北条時行:結川あさき 雫:矢野妃菜喜 弧次郎:日野まり 亜也子:鈴代紗弓 風間玄蕃:悠木碧 吹雪:戸谷菊之介 諏訪頼重:中村悠一 足利高氏:小西克幸 小笠原貞宗:青山穣 諏訪盛高:石黒史剛 市河助房:山本高広 瘴奸:東地宏樹 |
スタッフ | 原作:松井優征(集英社「週刊少年ジャンプ」連載) 監督:山﨑雄太 シリーズ構成:冨田頼子 キャラクターデザイン:西谷泰史 副監督:川上雄介 プロップデザイン:よごいぬ サブキャラクターデザイン:高橋沙妃 色彩設計:中島和子 美術監督:小島あゆみ 美術設定:taracod takao 建築考証:鴎利一 タイポグラフィ:濱祐斗 特殊効果:入佐芽詠美 撮影監督:佐久間悠也 CGディレクター:有沢包三 宮地克明 編集:平木大輔 音響監督:藤田亜紀子 音楽:GEMBI 立山秋航 音響効果:三井友和 制作:CloverWorks |
主題歌 | OP:「プランA」DISH// ED:「鎌倉STYLE」ぼっちぼろまる |
1990年生まれ、福岡県出身。小学生の頃『シャーマンキング』でオタクになり、以降『鋼の錬金術師』『今日からマ王!』『おおきく振りかぶって』などの作品と共に青春時代を過ごす。結婚・出産を機にライターとなり、現在はアプリゲーム『アイドリッシュセブン』を中心に様々な作品を楽しみつつ、面白い記事とは……?を考える日々。BUMP OF CHICKENとUNISON SQUARE GARDENの熱烈なファン。