フィリピンからボルテスⅤにすべてをかけて――監督の大きすぎる「ボルテスⅤ愛」が実写にボルトイン! 映画『ボルテスV レガシー』マーク A. レイエス V監督インタビュー
アニメから飛び出してきたようなキャスティングはどうやった?
――今回の俳優陣は、ボルテス・チームもボアザン星人もアニメからそのまま飛び出してきたような見事なキャスティングでした。このキャスティングの裏話などがあれば教えてください。
マーク:本当に各キャラクターにぴったりの配役ができたので、今回はとてもラッキーだったと思っています。例えばマーク・ゴードン役に関しては、GMAネットワーク(フィリピンのテレビ局)のタレントリストにいたのがラドソン・フローレスさんでした。その時に「マーク・ゴードンはこの人だ!」と思っていたのですが、一年後にこの作品のオーディションを受けてくれて、僕としては即決でした。
しかも、偶然にも彼は乗馬もできたので、正にマーク・ゴードン役を演じるために生まれてきたような運命を感じましたね。もし乗馬ができなかったら6ヶ月間のトレーニングを重ねないといけませんでしたから。
※編集部注:マーク・ゴードンはボルトマシン2号機「ボルトボンバー」のパイロットで、特技が乗馬という設定がある。
ジェイミー・ロビンソン役のイザベル・オルテガさんに関しては、彼女は日本のアニメっぽい顔立ちが良いですよね。他にも色々な方がジェイミー役のオーディションを受けてくれましたが、彼女がひときわ目立っていました。それは顔立ちだけでなく、体作りもしっかりしていたことが理由ですが、彼女の父親は80年代にフィリピンで人気だったアクションスターなんです。彼女はそのDNAを引き継いだ女優で、体操の訓練にも意欲的に取り組んでくれました。
そして、注目すべきはザルドス役のマーティン・デル・ロザリオさんです。ザルドスは複雑な感情表現が必要なキャラクターですので、そんな成熟した演技のできる役者を探していました。マーティンさんに関しては、彼の過去作品から感情の機微がある演技ができることは知っていましたが、実際にオーディションでの演技を見て納得しました。力強いザルドスを演じながらも、心の内が見える繊細な瞬間を表現してくれて、その時点で彼が適役だと確信しました。
このように全てのキャスティングにおいて、非常に納得のいく配役ができたと思います。
この作品はフィリピンから日本の皆さんへのギフトです
――スタッフロールを見ると、エグゼクティブ・プロデューサーに東映の白倉伸一郎さんが入っていました。白倉さんが参加したことで、実写化に関して何かオーダーや影響はありましたか?
マーク:実写版を制作していく上では、やはり一つ一つ東映さんの承認を得る必要があります。最終的に白倉さんからは、この作品にとても満足していて誇りに思っているというお言葉をいただけました。そういった形で認めていただけて、とても嬉しく思っています。
――実写化の許諾が降りる前に、テレサクセスのラリー・チャンさんとプロトタイプの実写版『ボルテスⅤ レガシー』を作ったと伺っています。それはどういったものだったのでしょうか?
マーク:プロトタイプの映像に関しては、技術的にこういったことが可能だと見ていただくための、いわゆるコンセプト映像のようなものです。具体的には、合体シークエンス、ボルテスⅤとビースト・ファイター(テレビアニメ版の獣士、鎧獣士)の格闘シーン、俳優とCGを融合させたシーンなどを5分程度に編集しています。CGIのレベルがグローバルスタンダードであること見せて、GMAさんとテレサクセスさんに売り込み目的で作ったという感じです。
――『ボルテスⅤ』に欠かせないのが堀江美都子さんが歌う主題歌「ボルテスⅤの歌」です。この主題歌の中で、特に監督が好きな歌詞があれば教えてください。
マーク:「ボルテスⅤに すべてをかけて♪」という歌詞と、イントロ部分は特に好きです。
この実写化にあたっての音楽の話をもう少しすると、実は音楽の承認が降りるのに少し時間がかかってハラハラしたんです。音楽は権利が複雑で、日本の権利窓口はテレビ朝日ミュージックさんですが、グローバルライツはソニー・ミュージックパブリッシングさんに委託しているのだそうです。そのため、今回は東映さんを介してテレビ朝日ミュージックさん、ソニー・ミュージックパブリッシングさんと交渉していくことになり、ちょっとしたアドベンチャーでした。
――個人的にはエンディングテーマの「父をもとめて」も、エンドロールでアレンジされたものが流れて嬉しかったです。
マーク:ありがとうございます(笑)。
――監督も子供の頃に『ボルテスⅤ』のおもちゃで遊ばれたと思いますが、今後『ボルテスⅤ レガシー』のどんなグッズが展開してほしいですか?
マーク:実際にフィギュアが一年以内には発売されるのかなと思います。プロトタイプを拝見しましたが、日本のメーカーの技術は流石だなと感動しました。
――この『ボルテスⅤ レガシー』をきっかけにアニメ版を見返したりするなど、日本でも改めて『ボルテスⅤ』の人気が高まると思います。昔からのアニメファン、そしてこれから新たにファンになる人たちに向けてメッセージをお願いします。
マーク:こうやって『ボルテスⅤ レガシー』を、その故郷である日本へお連れすることができてとても嬉しいです。本当にリスペクトと愛を作品に込めており、これはフィリピンから日本の皆さんへのギフトと思って受け取っていただけたら幸いです。
ぜひ『ボルテスⅤ レガシー』をご堪能いただきたいと思います。
取材・記事:岩崎航太、編集:石橋悠
作品概要
あらすじ
敵側は勝利を確実なものとするため、より強大な獣型ロボット“ビースト・ファイター”を繰り出してきた。5人はそれに対抗するため「レッツ・ボルトイン!」のかけ声とともにマシンを合体させ、巨大な人型ロボット“ボルテスV”となる。
果たしてボルテス・チームの5人は、地球を守ることができるのか――
キャスト
マーク・ゴードン:ラドソン・フローレス(金城大和)
ロバート・“ビッグ・バート”・アームストロング:マット・ロザノ(花倉桔道)
“リトル・ジョン”・アームストロング:ラファエル・ランディコ(小市眞琴)
ジェイミー・ロビンソン:イザベル・オルテガ(中島愛)
フロスガー/ネッド・アームストロング:ー(三上哲)
マリアンヌ・アームストロング:カーラ・アベラナ(堀江美都子)
プリンス・ザルドス:マーティン・デル・ロザリオ(諏訪部順一)
ザンドラ:リーゼル・ロペス(飯田里穂)
ドラコ:カルロ・ゴンザレス(樋山雄作)
ズール:エピ・クウィゾン(越後屋コースケ)
リチャード・スミス:アルバート・マルティネス(山中誠也)
オスカー・ロビンソン:ガビー・エイゲンマン(相樂真太郎)
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