『クレイヴン・ザ・ハンター』日本語吹替版 クレイヴン役・津田健次郎さんインタビュー|感動とは違う大人向けの苦みが走る、ヴィランとその家族の物語
『スパイダーマン』『ヴェノム』シリーズを手掛けるソニー・ピクチャーズの最新作『クレイヴン・ザ・ハンター』が、2024年12月13日(金)より日米同時公開されます。
裏社会を支配する冷酷な父の元で育ったセルゲイ(クレイヴン)は、ある出来事をきっかけに、超人的な力を持つ“クレイヴン・ザ・ハンター”へと覚醒します。悪人たちを標的に、次々と“狩り”を実行していくクレイヴン。残虐な狩りがエスカレートする中、最愛の弟であるディミトリが敵の標的となってしまい……。
そんな本作の主人公・クレイヴンの日本語吹替を務めるのは、アニメ『呪術廻戦』で七海建人役を演じ、ドラマ・舞台など幅広いフィールドで活躍中の津田健次郎さん。本稿では、津田さんに本作の見どころやクレイヴンの印象を語っていただきました。
家族の絆と葛藤が交錯する『クレイヴン・ザ・ハンター』の魅力
ーー本作は、R15+指定となっており、マーベル作品でありながら過激な描写も多いですよね。
津田健次郎:バイオレンスな要素も含め、かなりワイルドで新しさを感じられる映画だと思います。個人的にはクレイヴンとラッセル・クロウさん演じる父親(ニコライ)の会話シーンにも注目していただきたいです。
ーー アクションはもちろんですが、“家族”を描いた映画でもありますよね。
津田:父親との確執、弟との関係性、どちらも非常にドラマチックな内容です。特に家族3人が集まるシーンは劇的でしたね。家族のドラマとしても楽しめますし、終盤は大人向けの苦みが走るような展開もあって、まさしくヴィランの映画という感じです。
ーー演じる中で、クレイヴンというキャラクターにどういった印象を持ちましたか?
津田:悪いやつよりも圧倒的にパワーのある、悪に近い感性を持った人物という印象でした。最初はよりドスを効かせた演技をしていましたが、テスト収録の段階で音響監督から「年齢的にも若いので、悪い部分を抜いていきましょう」という話がありまして。現場ではそういったズレをその都度修正していきました。
ーーヒーローではなくヴィランなので、演じる際に気を遣う部分も多いのかなと。
津田:逆にあまり気を遣わないで演じられますね。ヒーロー側はやってはいけないことも多いので、ヴィラン側の方が自由度は上がります。
ーークレイヴンと弟のディミトリとの関係性も、本作の重要なポイントだと思います。
津田:傍若無人な父親ですから、兄弟の絆は間違いなく深いと思います。一緒に育ってきたふたりはどこか社会に馴染めないからこそ、お互いに支え合う関係です。
前半の仲睦まじい場面が微笑ましい一方で、後半はいろいろな出来事が重なり、クレイヴン自身も戸惑っている印象がありました。物語が進むにつれて、演じるうえでも“受け”の芝居を意識しています。
ーー複雑な葛藤を抱えるキャラクターですが、演じる中で変化・成長を感じたシーンはありますか?
津田:成長という意味では、カリプソとのシーンでしょうか。人生の大半を独りで生きてきた彼にとって、弟以外の人間と接する機会は少なかったと思うんです。カリプソと接していく中で、人との接し方を学んでいるような気がしました。
ーーカリプソは、クレイヴンにとって相棒のような存在になっていきます。
津田:そうですね。役割分担も明確で「お前が調べて、俺がやる」みたいな(笑)。命を助けられる場面もありますし、とても素敵な相棒だと感じます。