
『劇場版アニメ 忍たま乱太郎 忍術学園 全員出動!の段』注目ポイントや原作について解説! 画面の隅々まで堪能したい味わい深さ
尼子騒兵衛先生の漫画 『落第忍者乱太郎』を原作としたTVアニメ『忍たま乱太郎』が1993年より放送開始。戦乱の時代を舞台に、忍術学園で勉強中の乱太郎、きり丸、しんべヱをはじめとした忍たまたちの賑やかな日常を描く作品です。
2024年12月20日より劇場公開中の『劇場版 忍たま乱太郎 ドクタケ忍者隊最強の軍師』をきっかけに、改めてTVアニメや原作漫画、そして過去の劇場版にも注目が集まっています。
本稿では、映画2作目となる『劇場版アニメ 忍たま乱太郎 忍術学園 全員出動!の段』(2011年公開)をご紹介。ファンのあいだでも高い人気を誇る本作の注目ポイントや、原作ではどう描かれているのかなども併せて解説していきます。
『劇場版アニメ 忍たま乱太郎 忍術学園 全員出動!の段』は、Eテレにて2025年3月16日(日)15:40より放送されますので、この貴重な機会をお見逃しなく!
※本稿には、『落第忍者乱太郎』の一部ネタバレが含まれます。
\にん・にん・にん🥷/
— NHKアニメ (@nhk_animeworld) February 22, 2025
「劇場版忍たま乱太郎 忍術学園 全員出動!の段」放送決定✨
📺Eテレ 3/16(日)午後3:40
忍術学園最大の危機!?
友達がいれば、ぼくらは無敵!
どうぞお楽しみに!#忍たま #忍者の日
▼詳細はこちらhttps://t.co/eT3DeTTn0W pic.twitter.com/QpJcylpcI6
目次
- 『劇場版アニメ 忍たま乱太郎 忍術学園 全員出動!の段』とは?
- 『劇場版アニメ 忍たま乱太郎 忍術学園 全員出動!の段』注目ポイント
- キャラクターの個性と魅力を画面いっぱいで表現!
- 忍たまの活躍と先生たちの支え
- 委員会を知っているとより楽しめる!
- タソガレドキ城とオーマガトキ城
- 馬借も活躍
- 佐武村の鉄砲隊と照星
- 原作ではどう描かれている?
- 原作漫画『落第忍者乱太郎』第37巻&第42巻
- 『劇場版アニメ 忍たま乱太郎 忍術学園 全員出動!の段』DVD&Blu-ray
- 『劇場版アニメ 忍たま乱太郎 忍術学園 全員出動!の段』作品情報
- この記事をかいた人
- 担当記事
- キャラクター解説
- お役立ち記事
- 関連商品
『劇場版アニメ 忍たま乱太郎 忍術学園 全員出動!の段』とは?
タイトル | 『劇場版アニメ 忍たま乱太郎 忍術学園 全員出動!の段』 |
---|---|
公開年 | 2011年 |
原作 | 尼子騒兵衛「落第忍者乱太郎」(朝日新聞出版刊) |
監修 | 芝山 努 |
監督 | 藤森雅也 |
脚本 | 浦沢義雄 |
音楽 | 馬飼野康二 |
アニメーション制作 | 亜細亜堂 |
配給 | ワーナー・ブラザース映画 |
製作 | アニメ版「忍たま乱太郎」製作委員会 |
上映時間 | 79分 |
『劇場版アニメ 忍たま乱太郎 忍術学園 全員出動!の段』は『忍たま乱太郎』の劇場版の2作目で、『忍たま乱太郎』初の長編劇場版アニメとして2011年3月に公開されました。
本作を手がけるのはTVアニメ第1シリーズからキャラクターデザインを担当する藤森雅也監督。劇場版アニメの3作目となる『劇場版 忍たま乱太郎 ドクタケ忍者隊最強の軍師』(2024年公開)でも監督を務めています。
あらすじ
一年生から六年生の宿題がごっそり入れ替わってしまい、夏休みが終わった忍術学園は大騒ぎ。一年は組の山村喜三太があたったのは、六年生用の「オーマガトキ城主のふんどしをとれ」という難易度の高すぎる宿題でした。姿を見せない喜三太は、オーマガトキ城に捕まってしまったのだといいます。
現在オーマガトキ城はタソガレドキ城と戦の真っ只中。まずは忍術学園の特命選抜チームが喜三太の救出に向かい、さらに二つの城の戦に巻き込まれた園田村から依頼を受けた忍術学園は、全員出動の大作戦で忍務にあたります!
『劇場版アニメ 忍たま乱太郎 忍術学園 全員出動!の段』注目ポイント
キャラクターの個性と魅力を画面いっぱいで表現!
本作は“忍術学園全員出動”のタイトル通り、忍術学園の下級生から上級生まで、そして先生たちも大活躍。それぞれの個性が存分に発揮されており、画面の隅々まで充実した面白さです。
私のお気に入りは、マイペースに画面の奥でも穴を掘り続けている綾部喜八郎、トスをする中在家長次にお決まりでやっぱりアタックしてしまう七松小平太。決断力のある方向音痴・神崎左門をちゃんと掴まえてあげている面倒見のいい平滝夜叉丸など。
さらにイチオシシーンは、特命選抜チームのメンバー紹介の字幕、喜三太救出の一連、“くせ者”と保健委員の対面、OP &ED映像など挙げるときりがありません。
キャラクターそれぞれの表情や仕草からも目が離せなくて、ここでは誰が何をしているのかなど何ひとつ見逃したくないほど虜になってしまう作品なのです。ぜひ画面の端の方までご注目ください。
『忍たま乱太郎』は推しを一人に決められないという声も多いことからも分かる通り、キャラクターが非常に魅力的。ゆえに“キャラクターの深すぎる解像度”と“芸の細やかさ”も本作が愛される理由ではないかと思います。
そして原作者の尼子先生が大切にされている時代考証。服飾や住まい、武器など、室町時代の描写の細かい部分にまで藤森監督はこだわって作られているそうです。
深い時代考証が根幹にあり、兵法書や忍術の書に基づく本格的な忍者作品でありながら、複雑を極める戦についても要点を明瞭に説明してくれるので置いてけぼりにならない。石火矢の撃ち方を歌で解説するなど魅せ方も抜群。初めて『忍たま乱太郎』に触れる人やお久しぶりの人も楽しめるような“入り込みやすさ”と、何度観ても面白くて考察したくなるような“味わい深さ”が両立しているのも本作の魅力です。
忍たまの活躍と先生たちの支え
何かあれば一年は組が行きたがるのも、学園長先生が許可してしまうのもお馴染みのパターン。“行きたがると思った”、“許可すると思った”という山田先生と土井先生は気苦労が絶えないようです。
戦乱の時代における合戦の激しさが伝わる本作。砲弾が忍たまたちの間近まで迫る緊迫した戦が始まるなか、実践に強い一年は組の生徒たちの活躍も見どころ。それぞれに持つ“強み”が活きており、ここぞというときの瞬発力や底力も目を引きます。さらに忍術学園総動員の作戦や助け合う姿、先生たち大人が子供たちを守る姿も注目したいところです。
忍術学園の先生は一流の忍者揃いで、特に実技の先生は戦忍出身が多いのだとか。非常に優秀と言われる上級生でさえ先生方と技量や経験値に差があり、例えば忍たまは雑渡昆奈門の気配に気づけなかったりするのですが、昆奈門のわずかな気配を先生が察知しているといった描写もあります。
土井先生もまた一流の忍者であると同時に優秀な指導者。実践では先生が全てを指示するわけではなく、ヒントだけ与えて生徒自身が考えて行動できるように導いている姿もみられます。また、最後まで気を抜くことなくタソガレドキ忍軍を警戒している先生方の動きも印象的です。
委員会を知っているとより楽しめる!
忍たまたちが委員会でまとまって動いている場面も興味深く、例えば用具委員が中心となって体育委員も協力しながら石火矢を運んでいます。火薬委員は火薬関連を担当しており、顧問の土井先生が指示をしていることも。
保健委員は救護所をつくり、怪我人を診るための包帯や薬などを準備しており、“不運委員会”と呼ばれるだけあってお決まりの不運が盛大に発動。忍術学園では委員会活動が盛んですので、誰がどの委員会に所属しているか知っているとより楽しめるはずです。
◆委員会の詳しい記事はこちら
タソガレドキ城とオーマガトキ城
本作ではタソガレドキ城とオーマガトキ城が物語に大きく関わっていますので、二つの城をここで少しご紹介。一ヶ月前の激戦以来、タソガレドキ軍の圧倒的有利のまま不思議な睨み合いが続いているといいます。
タソガレドキ城は策略家で戦好きの城主・黄昏甚兵衛(たそがれじんべえ)のもと、各所に戦を仕掛けては領土を広げている城であり、映画では鉄砲隊や忍軍などが活躍。
なかでもタソガレドキ忍軍は百人もの忍者の頂点に立つ忍び組頭の雑渡昆奈門を筆頭に非常に優秀です。狼隊、黒鷲隊、月輪隊、隼隊の四つの小隊に分かれており、それぞれ違った役割があります。
戦の規模が大きくなればなるほど事前の調査が必要で、戦に勝つためには情報収集が重要とされていますが、タソガレドキは「諜報」に力を入れており、忍軍が多くの情報を集めているのです。
また、本作ではタソガレドキ忍軍が忍術学園に対して中立の立場をとっている理由も描かれており、昆奈門と忍術学園六年生の善法寺伊作との出会いや対峙も必見です。
◆タソガレドキ城の詳しい記事はこちら
一方でオーマガトキ城は戦下手の城主・大間賀時曲時(おおまがときまがとき)に人望がなく、忍たまたちからも“負けて当然”と言われてしまうほど。忍者を重要視しておらず、オーマガトキは忍者が極端に少ない上に素人が担っているのです。このあたりは『落第忍者乱太郎』で詳しく描かれています。
実はオーマガトキには元々忍者が所属していませんでした。城主は“わが軍に一人も忍者がいないというのはカッコ悪い”として“忍者をやってくれ”と任命したのが当時オーマガトキ軍の足軽だった射場 亨と貝原太郎の二人。以降、射場は忍頭を務めています。
ちなみに、その時に二人が城主から渡されたのは、石火矢を買ったときにおまけでついてきた小冊子「これで君も忍者になれる」。土井先生いわく“子どもの忍者ごっこぐらいには使えるかな”というレベルの内容で、この調子ではタソガレドキ忍軍との差は歴然です。
馬借も活躍
「馬借」とは、馬で物資を運ぶ運送業者のこと。忍術学園に“急ぎの老人”園田村の乙名・手潟潔斎を連れて来たのは、馬借の清八。加藤村で加藤飛蔵が営む馬借の若い衆で、親方・飛蔵の息子である一年は組の加藤団蔵のことを“若旦那”と呼びます。清八が手潟さんの依頼で向かった先は……?
佐武村の鉄砲隊と照星
本作で大活躍の「佐武村の鉄砲隊」はプロの火力集団で、その実力はタソガレドキの鉄砲隊も警戒するほど。味方につければ戦に必ず勝つとまで言われているそうです。
佐武鉄砲隊を率いる首領の佐武昌義は、一年は組の佐武虎若の父親。二千挺もの鉄砲を所持しているだけに、佐武鉄砲隊の出動料はものすごく高いのだといいます。
そして忘れてはならない、虎若や田村三木ヱ門の憧れである火縄銃の名手・照星(しょうせい)の存在感も圧倒的。忍たまたちのあいだでは顔が不気味と言われていますが、冷静沈着で有能なスナイパーであり、現在は佐武鉄砲隊と共に行動しています。照星さんの格好良すぎる登場シーンや、虎若のとある作戦にも注目です。