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Netflixアニメ『ドラゴンズドグマ』須貝真也監督&小林裕幸プロデューサーインタビュー

Netflixオリジナルアニメシリーズ『ドラゴンズドグマ』須貝真也監督&小林裕幸プロデューサーインタビュー|ゲームとアニメ、似て異なる2つの業界の違いに迫る

オープンワールドRPGを作ることの難しさ

――ひと昔前は、イーサンのようなある程度が年齢の高いキャラクターを主人公にする企画がなかなか通らなかったイメージがあるのですが、近年ではどうなのでしょうか?

小林:実際アニメの『ドグマ』でも、主人公の年齢をどうするかはかなり話し合いましたね。

須貝:そうですね。ただ、僕の場合はもともとプロダクションI.Gという会社にいまして。そこだと主人公の年齢が高いことが多くて、むしろ少年少女になることの方が少ない(笑)。なので(イーサンの年齢も)何の違和感もなく受け入れられましたね。

一同:(爆笑)。

小林:あとはどういう層に見てもらいたいかにもよります。『ドグマ』の場合は、10代の若い子ではなく、もうちょっと高めの年齢層を想定していましたから。ゲームの企画の場合も同じで、どういった年齢層に遊んでもらいたいかで、主人公の年齢も変わってきます。

ただ、これはアニメも同じだと思うんですが、いろんな世代が楽しまれるのが一般的になってきたことで、ターゲットにできる対象年齢の幅が昔よりも広がってきているような感覚はありますね。実際、僕も50代になってもアニメを見ていると思いますし(笑)。

須貝:アニメ側としては、深夜アニメなどを好む層に対しては、少年少女を主人公にした恋愛モノや学園モノの企画の方が通りやすいですね。逆にロボット系の企画は昔よりも通りにくくなったかなという感覚があります。海外市場も含めた受け入れられやすさというのも影響しているのかもしれませんが。

――『ドラゴンズドグマ』も海外を意識した作品だと思いますが、やはり海外市場の重要性というのは高まっていますか?

小林:もう今は海外は意識してないとダメだと思っています。完全にドメスティックに国内市場だけを見るなら別ですが、Netflixさんの場合は全世界配信ですし、世界中で楽しまれる作品というのを求めていると思いますから。カプコンが作るゲームも、グローバルに向けたものが多いですね。

『ドグマ』の場合、ゲームではオリジナル音声を英語で、日本語を吹き替えという形で後から入れるという作り方をしていたのですが、アニメ版もそれと同じ作り方をしているんです。その分、監督は苦労をされたと思いますが(笑)。

須貝:そうですね、収録のためにロサンゼルスに4回ほど行きました。僕は英語が喋れるわけじゃないので、Netflixさんの協力でどうにか収録ができたのですが、その際にアフレコ中の役者さんの顔を撮影させていただいていたんです。

というのも、僕以外のアニメスタッフも英語がわからないので、台詞にどう口の動きをあわせていいのかで困ってしまう。なので役者さん自身の口の動きや表情の変化を参考にしてアニメーションをつけていくという、従来とは違った作り方をしていましたね。

――『ドラゴンズドグマ』が発売された頃と比べると、日本のメーカーが作ったオープンワールドのゲームも増えてきましたが、かなり開発のハードルの高いジャンルだという印象を受けます。やはりかなりそれだけ開発は大変なのでしょうか?

小林:もう大変です。とにかく物量が半端ないですし、『ドグマ』はカプコンとしては初めてのオープンワールドRPGで、ノウハウもありませんでしたから。

アクション面はノウハウはあるのですが、意外とカプコンってRPGもたくさん作っているわけではなくて、僕も含めてRPGを初めて作るというメンバーも結構いたので、尚更苦労しましたね。

――やはり物量面が一番の壁になるのでしょうか。

小林:物量もそうですが、どういう設計でゲームを遊ばせるかというところも難しくて。広いフィールドを作っても、ただ歩かせているだけでは当然面白くないですし、どういう風に敵を配置してイベントを起こすのがいいのかが、アクションやアドベンチャーとは勝手が全然違うんです。

1作目では、できるだけ瞬間移動(ファストトラベル)を使う機会を減らしたかったという意図があったのですが、そこも賛否両論になったり、扱いが難しかったですね。

――ただ個人的に、発売から時間が経っていろんなゲームが出てくるにつれ、「『ドラゴンズドグマ』ってすごかったんだ」ということが改めてわかってくるようになってきた感覚があります。

小林:当時はこの苦労をなかなか理解してもらえなかったんです(笑)。実際、我々はオンラインの接続も見られるので把握できるのですが、オリジナル版がリリースされてから8年くらい経った今でも結構なプレイヤーにプレイしてもらっています。中には、PS3版をずっと遊び続けてくださっている方もいますね。

――いろんなオープンワールドRPGがリリースされましたが、『ドラゴンズドグマ』ほどストレートな作品はあまりないですよね。

小林:そこは我々としても、実際に目指したところでしたから。そういう意味ではアニメ版でも、「あくまでもハイ・ファンタジーだから、現代的な要素は入れないで欲しい」というお願いもしていました。

――最後に、本作の見どころとなるポイントをお願いします。

須貝:本作は自分にとって、挑戦したことがたくさんあるタイトルです。スタジオとして初の元請けのアニメシリーズになりますし、音響のスタッフが社内にいることもあって、音にもかなりこだわっています。あとは英語にあわせたリップシンクにも力を入れたので、できれば一度は英語、もう一度は日本語といったように、両方の言語で楽しんでもらえればなと。

物語が進むにつれ、主人公であるイーサンとハンナがどのように変化していくかも見どころとなっているので、是非とも二人の旅を最後まで見届けていただければと思います。

小林:アニメにジャンルが変わっても、内容はしっかりと『ドラゴンズドグマ』になっているので、普段アニメをあまり見ないというゲームファンにも見ていただきたいです。とくにゲームを楽しんで下さった方なら、アニメ版の良さもわかっていただけると思います。

その一方で、『ゲーム・オブ・スローンズ』のような実写ドラマの面白さを盛り込んだ雰囲気もあり、1話を見れば自然と2話、3話と続けて視聴したくなるような作りになっています。全7話という長編映画1本分くらいのボリュームで最初から最後まで見られるので、まずは騙されたつもりで第1話を見ていただければなと。

アニメを見終わった後は、『ダークアリズン』を遊んでいただいたり、反響が大きければ、いつかアニメのシーズン2も作りたいとも思っていますので、ぜひ応援の声を届けていただければ嬉しいです。

――ありがとうございました。

[取材/文 米澤崇史]

作品情報

Netflixオリジナルアニメシリーズ『ドラゴンズドグマ』

Netflixにて、2020年9月17日(木)より全世界独占配信
https://www.netflix.com/dragons_dogma

 
【ストーリー】
100年以上の時を経て突如姿を現したドラゴンは、カサディスの村を焼き尽くした。

愛する家族を守ろうとドラゴンに立ち向かうイーサンだったが、ドラゴンによって自らの心臓を奪われてしまう。絶命したかに思われたイーサンは“覚者”となり蘇り、イーサンのもとに突然現れたポーン(“従者”)のハンナと共に、心臓を取り戻す為の旅にでる。

旅を続けながら、イーサンは七つの大罪を体現するモンスターとの戦いを繰り広げていくことになるが、しかし、モンスターを倒すたびに、彼自身もまた少しずつ人間性を失っていくことになろうとは、まだ知る由もなかった……。

 
【スタッフ】
原作:CAPCOM
監督・演出:須貝真也
エグゼクティブプロデューサー:櫻井大樹(Netflix)
共同プロデューサー:小林裕幸(CAPCOM)、北原隆(CAPCOM)
脚本:砂山蔵澄
キャラクターデザイン:西村郁
アニメーション制作:サブリメイション

 
作品ページ

『ドラゴンズドグマ』とは

『ドラゴンズドグマ』はハイファンタジーの世界・広大なグランシス半島を舞台に、ドラゴンに心臓を奪われ“覚者”になった主人公が、自らの心臓を取り戻すためドラゴンを倒す壮大な冒険を繰り広げるオープンワールドアクションゲームです。

カプコンより2012年5月24日にPlayStation3/Xbox 360版「ドラゴンズドグマ」が発売されると全世界で好評を博し、2013年4月25日には大規模追加コンテンツ「黒呪島」を追加した「ドラゴンズドグマ:ダークアリズン」を発売。

これまでにPlayStation4、Xbox One、PC(Steam)、Nintendo Switchと様々なハードで販売され、2020年6月30日現在でシリーズ累計530万本の販売を誇る作品です。

Netflix(ネットフリックス)について

Netflixは、190ヵ国以上で1億9300万人を超える有料メンバーが利用するエンターテインメントに特化した世界最大級の動画配信サービスです。各種受賞作を含む幅広いジャンルのシリーズやドキュメンタリー、長編映画などを多くの言語で配信しています。あらゆるインターネット接続デバイスで、好きな時に、好きな場所から、好きなだけ映画やシリーズを楽しんでいただけます。また、一人ひとりの好みに合わせた作品をおすすめする独自の機能により、観たい作品が簡単に見つかります。広告や契約期間の拘束は一切ありません。

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