WOWOWオリジナルアニメ『火狩りの王』OPテーマ担当 家入レオさんインタビュー|「どうしようもなくなって情けなくなることも含めて生きていくこと」【連載7回】
結論から言う構成のほうがアニメを見ている方に届くと思った
ーー作詞は、石崎光さんとの共作となりますが、ここまで話してくださったようなことをお二人で話し合われて?
家入:はい。お互いに資料を読んで、私がこの原作をどう思ったのかという気持ちを伝えさせていただきました。「生きることは光と影の両面があるということを、しっかりと伝えたいです」と。
ーー楽曲から作っていったのですか?
家入:アニメの主題歌のお話をいただいたときに、(石崎さんの)メロディの種があったので、このアニメにハマりそうだと思い、そこから歌詞を書き下ろしました。それをアニメスタッフの方に聴いていただき、これで行きましょうという流れでした。
ーー曲の構成的には、サビがあって、短いAメロBメロをはさみ、またサビで終わるという。アニメのオープニングの尺だと、伝えたいことはこれなんです!と強く言っている感じがしました。
家入:伏線がたくさんあるアニメなので、その伏線が回収されるまで、長い期間放映されるわけじゃないですか。なので音楽は、シンプルに言いたいことを言うほうが大事なんじゃないかなと思ったんです。結論から言う構成のほうが、よりこのアニメを見ている皆さんに届くのではないかなと考えました。
ーーシンプルにメロディも良いですよね。そこは何度も繰り返し聴かれるアニメのオープニングテーマということで、意識されたことなのかなと思いました。
家入:そこはもちろん意識しています。耳に残るメロディというのは、すごく大事にしています。
ーー強いメロディと強いメッセージがある曲が出来上がりましたね! アレンジなどでこだわったところはありますか?
家入:こだわりとしては弦の使い方ですね。石崎さんって、狂気的な方だったんだ!ってハッとさせられたんです(笑)。不協和音ギリギリのところで駆け引きをする弦の上がり方下がり方が、「嘘つき」という曲をさらに壮大にしてくれたと思っています。
ーー冒頭の〈嘘つき〉という歌詞部分で、声を重ね強調もされていたり、コーラスの部分で、表現が適切かわかりませんが、神秘的なところも感じたのですが。
家入:昨年の2月15日にデビュー10周年を迎えたのですが、その10周年イヤーの初期の頃にこの曲を作っていたんです。そこで、すごく嬉しい気持ちと同時に、この先もっと長く歌っていくために、10年の財産をただ磨いていくだけでは、さらにもう10年はできないと思ったんです。なので、飾ってしまっている部分を一度全部脱いで、また新たに、応援してくれる方々と次の10年の旅に出たいという気持ちがあり、そこで生身の自分の言葉が出た「嘘つき」という曲が出来上がったので、そういう意味で無垢な感じが出たというか……。
またそれが、主人公の灯子ともリンクしていると思ったんですよね。私、子供って神秘的な存在だと思っているんです。
デビュー10周年を前にして、私に音楽は向いているのかを悩んだ時期があって、そこでボランティアで保育園の2才児クラスの先生のお手伝いをさせていただいたことがあったんです。そこで子供たちを見ていたら、「このあとこうなるよ」って言ったことが本当に起こったりする。子供の直感力や想像力ってすごいし、大人よりも経験がないぶん、感覚で生きているから察知しやすいのかなって。そう考えると、私がリセットして、装備したものを脱いで作った作品だからこそ、神秘的なところが宿っていたのかもしれないですね。
ーー家入さんは、アニメや、この業界にはどんな興味をお持ちですか?
家入:ジブリから始まり、日本のアニメを見て育ってきましたけど、そうですね……、私、声を使った表現活動をもっとしていきたいと密かに思っているんです。一度朗読劇に出させていただいたことがあるんですけど、そこで声優さんとお話したときに、本当にすごいと思ったんです。おこがましいですけど、自分もいつか声優やナレーションをやってみたいなと思いました。
それに声で、家入レオだと気づいてくださる方も多くて、一度カスタマーサービスに連絡したときに、「もしかして、家入さんですか?」と言われたことがあるんです(笑)。タクシーの運転手さんと話していても言われたことがあるんですけど、声で私だとわかるんだ!みたいな。それって特徴があるということだとも思うので、チャンスをいただけるのであれば、そういうことも挑戦していきたいです。
ーー声優さんって、声が特徴的であることが大事な上に、演者であり技術職でもありますからね。
家入:すごいですよね! 地元の福岡にいた頃に通っていた学校のクラスメイトに、声優の麻倉ももちゃんがいるんです。今でも覚えているのが、放課後に「私は歌手になりたい」「私は声優さんになりたい」と、お互い将来のことを語り合ったことで。ももちゃんは、今では多くの皆さんに応援される声優さんで、実際の声優さんの大変さややりがいについて話を聞いていたので、改めてアニメは奥深いなと思いました。
ーーでは最後に、『火狩りの王』を楽しみにしているファンの皆さんへ、メッセージをお願いします。
家入:『火狩りの王』の映像を見たとき、これまでアニメを見ていなかった方や小説派だった方にとっても、見ごたえがあるアニメになっていると思いました。子供だけでなく大人が見ても味わい深い、アニメの固定観念を一新させてくれる素晴らしいものが宿っている作品だと思いますので、いろいろな世代の方に見ていただきたいなと思います。
そして、自分も制作者の一人として、『火狩りの王』に携われて嬉しいです。今後もアニメともいろいろな形で関わっていけたらいいなと思っています。OPテーマ「嘘つき」、ぜひ聴いてください!
[インタビュー・撮影/塚越淳一]
リリース情報
Digital Single「嘘つき」 先行配信中
New Album「Naked」 2023.02.15 Release
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連載バックナンバー
WOWOWオリジナルアニメ『火狩りの王』作品情報
放送・配信日:2023年1月14日(土)午後10時30分より放送・配信スタート(第1話無料放送)
あらすじ
人類最終戦争後の世界。
大地は炎魔が闊歩する黒い森におおわれ、人々は結界に守られた土地で細々と暮らしていた。
最終戦争前に開発・使用された人体発火病原体によって、この時代の人間は、傍で天然の火が燃焼すると、内側から発火して燃え上がってしまう。
この世界で人が安全に使用できる唯一の<火>は、森に棲む炎魔から採れる。
火を狩ることを生業とする火狩りたちの間で、あるうわさがささやかれていた。
「最終戦争前に打ち上げられ、永らく虚空を彷徨っていた人工の星、<揺るる火>が、帰ってくるー」と。
“千年彗星<揺るる火>を狩った火狩りは、<火狩りの王>と呼ばれるだろう”
紙漉きの村に生まれ、禁じられた森に入って炎魔に襲われたところを、火狩りに助けられた灯子。
首都に生まれ、母を工場毒で失い、幼い妹を抱えた煌四は“燠火の家”に身を寄せることを決意する。
灯子と煌四、二人の生き様が交差するとき、あらたな運命が動きだすー
スタッフ
原作:日向理恵子(「火狩りの王」ほるぷ出版 刊)
キャラクター原案:山田章博
監督:西村純二
構成/脚本:押井守
キャラクターデザイン:齋藤卓也
総作画監督:齋藤卓也・黄瀬和哉・海谷敏久
エフェクト作画監督:小澤和則
イメージイラスト/プロップデザイン:岩畑剛一
美術設定:中島美佳
メカニックデザイン:神菊薫
クリーチャーデザイン:松原朋広
美術監督:小倉宏昌
色彩設計:渡辺陽子
筆文字:勝又まゆみ
劇中画:水野歌
CG監督:西牟田祐禎
CG制作:レイルズ
タイトルデザイン/2Dワークス:山崎真紀子
特殊効果:櫻井英朗
撮影監督:荒井栄児
編集:植松淳一
監督助手:菅野幸子
音楽:川井憲次
音楽制作:フライングドッグ
音響監督:若林和弘
音響制作:プロダクション I.G
アニメーション制作:シグナル・エムディ
キャスト
灯子:久野美咲
煌四:石毛翔弥
明楽:坂本真綾
炉六:細谷佳正
綺羅:早見沙織
緋名子:山口愛
クン:國立幸
照三:小林千晃
火穂:小市眞琴
油百七:三宅健太
火華:名塚佳織
焚三:宮野真守
灰十:三木眞一郎
紅緒:原優子
ほたる:宮本侑芽
炸六:真木駿一
炎千:上田燿司
火十:綿貫竜之介
ヤナギ:大原さやか
キリ:嶋村侑
ひばり:石田彰
ナレーション:榊原良子
公式サイト:http://hikarinoou-anime.com/
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