異様な空気感と狂気的な圧。スリルの連続がたまならない──アニメ『ラグナクリムゾン』アルテマティア役・上田麗奈さんインタビュー
「私、アルテマティアだと思うんです」
──演じるにあたってのポイントを教えてください。
上田:かなり自由に演じさせてもらいました。たしか、ディレクションもあまりなかったんですよ。
スタッフ:オーディションの段階で、小林大樹先生も上田さんを推薦されていたそうです。
上田:そうだったんですね。実は『ラグナクリムゾン』のオーディションは2回あったんです。1回目はオーディション対象にアルテマティア役がなく、クリムゾン役を受けていて。
そのタイミングで原作を読み、テープを録ったんですけど、マネージャーさんと話しながら「私、アルテマティアだと思うんです」と言ったら、マネージャーさんも「そうだと思います」と。正直、クリムゾンは声に可能性がありすぎて、自分の中ではなかなかイメージが固まらなかったんです。キャストが男性か女性なのかもわからなくて。
スタッフ:たしかに、そのタイミングではまだ男性にするのか、女性にするのか決まっていなかったです。
上田:やはりそうでしたか。村瀬さんに決まったと聞いたときはピッタリだ! と興奮しました。そしてアルテマティアに関しては、本当に悪気がなく、とにかく優しいし、裏がない。そこが素敵だと感じて「この子をやりたい」と思ったんです。
そして2回目のオーディションでアルテマティア役を受けたときは、「この子は私がやります」という気持ちで、気合を入れてテープを録りました。そんな思い出があります。だからこそ、決まったときは本当に嬉しかったです。演じるにあたっては、彼女の裏表のなさ、邪気を感じさせない部分を意識して頑張りました。
──裏表のなさは第4話を見ただけで伝わりそうですね。
上田:そうですね。ラグナ側と血族側、それぞれにドラマがあることの説得力になったかなと思います。あと、時を止めるときに余裕感がほしいというディレクションがありました。大技だけど、余裕で使えているような感覚を声で伝えてほしいというオーダーです。
──ほかにもディレクションはありましたか?
上田:今後の物語に関わる部分でいくつかありました。中でも、深い繋がりがあるカムイに対しては過激なツッコミがあったりするんですけど、その際に物理的な勢いを感じさせない言い回しをしてほしいと言われて。そこは個人的に面白いなと思いました。
カムイとのじゃれ合いはふたりの関係性が出ていますし、可愛いなと感じさせてくれるんです。
──全体的に自然な感じでといったオーダーだったんですね。
上田:特別力を込めてほしいという感じではなかったですね。アクションシーンも、何気ないシーンも自然体で演じていました。
アルテマティアとカムイは主人公とヒロインのよう?
──お気に入りのキャラクターを教えてください。
上田:カムイは良いですね〜。アルテマティアとカムイの関係性に、グッとくるものがあります。 アルテマティアの繊細さや脆さを受け止めたうえで、お前の本当の気持ちはなんなんだ? と言葉で問いかけてくれて。
カムイはアルテマティアに対して全力で向き合ってくれる一番の存在だと思います。アルテマティア自身、カムイと話しているときはほかの血族とは違う雰囲気を出しているんです。よりフランクな感じといいますか。なにかしらのエピソードがあったんだと感じさせてくれるんです。
そして、最強と言われるだけあってラグナたちにとっても大きな壁になるキャラクターです。第4話の時点ではまだ姿を見せていませんが、第5話以降、ぜひ注目してください。
──カムイと話すときはいつもと雰囲気が違いますよね。
上田:そうですね。アルテマティアは人間、血族でそんなに話し方を変えず、皆に平等です。それなのにカムイに対しては違うという部分は面白いですし、個人的に少女漫画っぽさを感じたりして。敵側に主人公とヒロインのような関係性があるのも珍しいなと思いました。
──アルテマティアの時操魔法にちなんで、上田さんが時を操れるとしたらなにをしますか?
上田:う〜ん、難しい。でも戻したくはないですね。一日のうちに上手くいったこと、いかなかったことがあったりしますけど、時を戻して上手くいったことが上手くいかなくなったらショックなので。
上手くいかなかったことを含めて成長しているところもあるはずなんです。だからこそ、ちょっと違う道に行くだけで人生が変わってしまいそうですし、それはそれで悩みが増えそうで……嫌だな〜(笑)。
──今がなくなってしまうかもしれませんからね。
上田:そうですね。なので時を止めるほうが良いかもしれないです。忙しいとき、寝る時間を増やしたり(笑)。あと、会話しているときに言葉選びで悩んじゃうことがあるので、一回時を止めて考えるのは良いかもしれないです!
──もしかしたら、ステージイベントや生配信とかで役立つかもしれませんね(笑)。
上田:たしかに。特に、最後の挨拶でほかの人が良いことを言ったりすると「ほかになにを話そう」と思ってしまうので、その時に一回時を止めたいです(笑)。ほかにも遅刻しそうなときとか! あ、でもダメ人間になっちゃいそうですね(笑)。
──たしかに(笑)。そう考えると、意外と持っているだけで大変な能力かもしれませんね。
上田:自制心が大事かもしれませんね。そう考えると、これだけのチート能力を持っているのに堕落せず、目的のために能力を使えるアルテマティアはすごいんだなと思います。
──最後に、今後の放送を楽しみにされている方へメッセージをお願いします。
上田:日々、刺激が足りないと思っている方はぜひ『ラグナクリムゾン』を見て、ハラハラドキドキしてください。主人公側のラグナとクリムゾンたちのバディ感であったり、ラグナ周りの人間ドラマも魅力的でありつつ、⻯側のドラマもすごく濃厚です。
ふたつの軸が同じくらい濃く、ドラマチックに展開していきます。双方に主人公やバディ、ヒロインがいる面白さをぜひ体験してほしいです。
そして、アルテマティアのことは気持ち悪いと思うと同時に、どこか憎めないと感じていただけると思います。それらを踏まえて、今後も『ラグナクリムゾン』を応援してください。よろしくお願いします!
──ありがとうございました!
[取材・文 MoA]
作品情報
あらすじ
ヘボ狩竜人の少年・ラグナは、ぶっちぎりの竜討伐数を誇る天才少女・レオニカとコンビを組み、日々、竜討伐に挑んでいた。
ラグナの願いはひとつ──「強くなれなくてもいい。レオのそばにずっといたい。」
しかしその想いは、これまでの相手と比べ物にならない強さを持った”上位竜”の襲撃により儚くも散りさる。
強大な敵を前にしたラグナの脳裏をよぎるのは、ここ数日ラグナを悩ませてきた悪夢──最強の力を手に入れながらも、何一つ守るべきものを持たない、絶望と孤独の未来を歩む自らの姿だった。
未来の自分が伝えるものとは……? 今の自分が選ぶべき道とは……?
そしてラグナは、謎多き新たなる相棒・クリムゾンと共に、絶望の未来を回避するための一歩を踏み出す。
挑むは、絶対強者。抗うは、強制運命。限界のその先へ──。
超ストイック異世界極限バトル!!
キャスト
クリムゾン:村瀬歩
スライム:ファイルーズあい
キメラ:能登麻美子
バルト・ロワン(ゴーレム):東地宏樹
アルテマティア:上田麗奈
ウォルテカムイ:諏訪部順一
ネビュリム:山下大輝
タラテクトラ:竹内良太
オルト・ゾラ:置鮎龍太郎
ボルギウス:堀内賢雄
スターリア・レーゼ:日高里菜
アイザック・スターン:前野智昭
ガルム・ウルバン:斎藤志郎
クリストファー・オルグレン:浜田賢二
シン・カトラス:畠中祐
フー:野津山幸宏
へゼラ/グレア:土屋李央
ナサレナ・テルジアン:嶋村侑
マジョルカ・アボット:高野麻里佳
レオニカ:水瀬いのり
サイクス・シャルルーク:小野友樹
未来ラグナ:神奈延年
(C)小林大樹/SQUARE ENIX・「ラグナクリムゾン」製作委員会