「“にお”を通して新選組が新鮮かつ生々しく感じられると思います」『青のミブロ』ちりぬにお役・梅田修一朗さん&斎藤はじめ役・小林千晃さんインタビュー|全員が揃う収録は男子校のような雰囲気
アフレコ現場は和気あいあいとした「男子校」のような雰囲気
ーー第1話は、におの意思表示をする場でもあると個人的には感じていて。感情的な台詞もありましたが、どのような気持ちで収録に臨まれたのでしょうか?
梅田:におを演じるにあたって、もちろん色々と考えて準備することはありますが、一番大事にしたかったのは、におがその時代を生きているひとりの少年であることを僕自身が自然に意識できるようにしておくということです。
その時代に生きる人として、どういうことを感じて、どういうことに喜びを見出して、どういうことに不満を持っているか。そういった部分を考えていくと、におはやはり家族のことをすごく大事にしていて。
その家族、あるいは自分の立場がとても虐げられやすい世の中に対しての悔しさだったり、それに対して何もできない自分への悔しさを抱えている一方で、生きていくためには相手のことを考えてうまく立ち回らなければいけない。そういうことが器用にできる子ですし、きっと器用にならざるを得なかったんじゃないかな。
(第1話は)そういう部分を大事にしながらも土方さんと沖田さんというイレギュラーな存在に出会って自分はこういうことを思っている、と初めて等身大のにおとして気持ちを伝えるエピソードでもあると思うので。そこは作るのではなく、におとして過ごしていく中で心が動いていき、意思を伝えるというか、漏れる、こぼれる、溢れる……そういうお芝居ができたらいいなと思いました。
ただ、最初は気持ちを込めすぎて、(におが)ずっと絶叫しているみたいになっちゃって(笑)。そんな時に阿座上さん(土方歳三役・阿座上洋平さん)が「こういうふうに役を組み立ててみたら、もっと表現しやすいんじゃない?」というふうにアドバイスをしてくださったんです。それが本当に土方さんみたいで……「ありがとうございます!」という感じでした。
小林:(笑)。リアルな指導をね。
梅田:そうです! それも、「やりなよ!」という感じではなく、静かに教えてくださって。それを踏まえて、出来上がった第1話の表現でした。
ーー小林さん演じるはじめは、少し先の登場になりますよね。
小林:そうですね。最初の方も少し登場しますが、がっつり喋るのはもう少し先です。
ーー“三匹の狼”のひとりでもあり、におと同世代のはじめですが、今後におとはどのような関係性を築いていくのでしょうか?
小林:多分、はじめ的には自分を子供離れしていると思っているからこそ、子供扱いされたくはないと思うんです。新選組という大人の男たちがいる中で、自分が一番若いというところに、「この年代では自分くらいしか「新選組」に居られない」という矜持を持っていて。そんな中で、におのように剣術もできず、ぱっと見、普通の子供が入ってきたことにすごく苛立ちをみせることもあります。
とはいえ、仲間になっていく以上、お互いに命を預けられる存在になる必要があるので、今後はそういう存在になっていけたらーー。
梅田:(咳き込んで思わず立ち上がる)
小林:(しばらく咳が治らない梅田さんをみて)……大丈夫?
梅田:(咳き込みつつ)すみません、お話の最中なのに。生唾が気道に入りました……(笑)。
小林:どうして急に!?
ーーありがとうございます(笑)。現場も今のように、和気あいあいとした雰囲気だったのかなと。
小林:そうですね(笑)。「男子校」みたいな。
梅田:アハハ(笑)。先輩と後輩の幅が広くて、男子校のような現場でした。
小林:ほぼ男性だけの回もありますし。ガヤ録りを新選組のキャスト全員や新選組以外のキャストも含めて、みんなでやれたのは楽しかったです。
梅田:アツいですよね!
小林:夏に入ってからのアフレコは不安でした。ただでさえ暑いのに、みんなであのスタジオに入って大声を出したら、溶けちゃう(笑)。
梅田:声優サウナの出来上がりです(笑)。
ーー“声優サウナ”という言葉はパワーワードですね。
小林:その分、すごく熱量が高くて楽しい現場でした。
梅田:本当に楽しいです!
ーーそれでは最後に、今作の注目ポイントと共にファンの方へのメッセージをお願いします。
梅田:『青のミブロ』の原作を読んでいる方も、これからアニメで観る方もいらっしゃると思いますが、本作では、ただでさえ個性的な新選組のメンバーに加え、歴史では語られていない“三匹の狼”がいます。
漫画の時からひとりひとりがとても濃く描かれているキャラクターたちに、隊士たちに声、動き、色、音楽がつき、物語がダイナミックに描かれていくと思います。キャラクターひとりひとりが迫力と個性を持ち合わせていますので、キャラクター同士のやり取りをぜひ楽しんでいただければなと。
小林:現代では味わえない、表現できない世界観が描かれている作品なので、アニメが好きな方はもちろん、あまりアニメを観たことがない方にこそ観てほしい作品です。
「新選組」と聞くと、剣戟やバトルが主になるのかと思われるかもしれませんが、本作はバトルもありつつ、根っこの部分には会話劇があります。「後世の人たちに何を託すのか」というメッセージが詰まっていて、現代を生きている我々にも大切なテーマが描かれていると思います。今を生きる人たちにこそ観ていただきたい作品なので年齢を問わず、ぜひご覧ください。
[取材・文/笹本千尋 撮影/MoA]
『青のミブロ』作品情報
あらすじ
心優しい少年「にお」が出会ったのは、"ミブロ”の土方歳三と沖田総司。
のちに「新選組」となる壬生浪士組の隊士たち。
金も土地も命すら理不尽に奪われる時代に自らの正義を胸に、京の街を守る"ミブロ”の面々。
「僕だって強くなりたい。こんな世界変えたい。」
"ミブロ”との出会いをきっかけに、ふつうの13歳の運命が、大きく動き出す!
命がけの"ド青春”新選組『青のミブロ』。
シリーズ累計1300万部超えの青春サッカーマンガ『DAYS』安田剛士による「週刊少年マガジン」にて大人気連載中の最新作、待望のアニメ化!
キャスト
(C)安田剛士・講談社/「青のミブロ」製作委員会